ラックスマンは6月8日、トランジスタ式プリメインアンプ「L-305」を発表した。発売は7月を予定しており、標準価格は315,000円となっている。
L-305は、ロ型の木箱ケースや、ノブ類を多用したフロントフェイスなど、1970年代によく見られたデザインを採用している。回路に関しても、最近のラックスマン製品に多い「ODNF」と呼ばれるフィードバック方式ではなく、DC領域と音楽の主帯域を独立ルートでフィードバックさせる「ODβ方式」を採用した(ODNFは歪み成分のみを帰還させる方式)。ODβ方式は、同社が1980年代から約20年間使用してきた回路だ。
L-305がこのようなデザインと回路を採用しているのは、単なる懐古趣味ではない。最新のアンプで昔のソースを聴くと、当時聴いていたのとは、バランスが変わってしまったと感じる人が多いそうだ。音楽CDが市場に登場したのは1982年。それ以前とそれ以後では、サウンドデザインの方向性が異なり、再生機器側も、CD登場以降はデジタルソースにマッチした特性を持つようになっている。そのため、レコードなどのアナログ時代のソース(音源)を多く持つ人には、アナログ時代に発売されたアンプを現在でも使用し続けているユーザーが少なくないという。
同社では、数十年前のアンプでも、ユーザーから依頼ががあれば修理やメンテナンスを行っている。しかし年代を遡れば遡るほど、リペアに必要なパーツの入手性は悪くなり、修理にかかる費用は嵩むうえ、当時と完全に同じ音を再現するのも困難になってくる。
L-305は現時点で、バランスを崩さずにアナログソースの音を再生することができるだけでなく、長期にわたって継続して使用できるように、パーツの入手性なども考慮した設計が行われている。なお、L-305が80年代の回路を採用しているのは、トランジスター式のアンプの熟成が進んだのがその時代だったためだ。
主なスペックは下表の通り。
連続実効出力 | 50W+50W(8Ω)、75W+75W(4Ω) |
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入出力 | ライン入力×3系統、フォノ入力×1系統(MM/MC)、録音入出力×1系統、セパレート入出力×1系統 |
スピーカー出力 | A、B2系統(同時出力可) |
増幅回路、出力構成 | CSSC+ODβ、バイポーラ・パラレルプッシュプル |
入力感度/入力インピーダンス | PHONO(MM):3.0mV/47kΩ、PHONO(MC):0.38mV/100Ω、LINE:180mV/47kΩ |
全高調波歪率 | 0.005%以下(1kHz/8Ω)、0.04%以下(20Hz~20kHz/8Ω) |
S/N比、周波数特性 | ライン:100dB以上(IHF-A、トーンディフィート・オン)、20Hz~80kHz(+0、-3.0dB) |
消費電力 | 117W(電気用品安全法)、40W(無信号時) |
サイズ/重量 | W400×D330×H169mm/15kg |