三鬼商事は7日、2012年5月末時点における東京ビジネス地区(以下、都心5区/千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の最新オフィスビル市況を発表した。

調査対象は、都心5区内にある基準階面積が100坪以上の主要貸事務所ビルで、調査対象ビル数は、2,657棟(新築ビル33棟、既存ビル2,624棟)。

それによると、都心5区の5月末時点の平均空室率は9.40%で、過去最高を記録した前月の9.23%から0.17ポイント上昇。空室面積についても、新規供給の影響により前月比約1万5,000坪増加した。

新築ビルの5月末時点の空室率は、前月比3.51ポイント増の39.16%。「5月に大規模ビルを含む新築ビル3棟(延床面積計約8万3,000坪)が募集面積を残して竣工したことが影響したためと見られる」(三鬼商事)。

既存ビルの5月末時点の空室率は、前月比0.02ポイント減の8.42%。5月は大型需要や館内増床などにより成約が進んだ一方、統合や集約のほか新規供給に伴う解約の影響が見られたため、空室率は小幅な低下にとどまったという。

地区別の平均空室率を見た場合、千代田区は前月比0.58ポイント増の9.05%、中央区は同0.18ポイント減の8.03%、港区は同0.13ポイント減の9.61%、新宿区は同0.05ポイント減の11.81%、渋谷区は同1.00%増の9.02%となった。

東京ビジネス地区 地区別平均空室率(出典:三鬼商事Webサイト)

一方、都心5区の5月末時点の平均賃料は1万6,729円(坪単価)で、前年同月比では3.86%(671円)の減少となったが、前月比では0.11%(18円)増加した。これは、「都心5区の賃料相場は弱含みで推移しているものの、5月は新築ビルの募集賃料が下支えしたことで、平均賃料が上昇したと考えられる」(三鬼商事)。

新築ビルの平均賃料は、前年同月比3.06%(719円)減、前月比1.36%(305円)増の2万2,804円。既存ビルの平均賃料は、前年同月比3.90%(673円)減、前月比0.01%(2円)減の1万6,575円だった。

地区別の平均賃料を見ると、千代田区は前月比0.68%(122円)増の1万8,133円、中央区は同0.09%(14円)減の1万6,030円、港区は同0.09%(16円)減の1万7,270円、新宿区は同0.23%(33円)減の1万4,212円、渋谷区は同0.34%(59円)減の1万7,238円となった。

地区別の平均賃料を前年同月比で見た場合、最も下げ幅が大きかったのは新宿区で前年同月比4.88%(729円)の減少。以下、渋谷区が同4.55%(821円)減、港区が同4.18%(753円)減、中央区が同3.77%(628円)減、千代田区が同2.73%(509円)減と、全地区で平均賃料を下げる結果となった。

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