6月1日、都内にてダイソン株式会社によるエアマルチプライヤーに関するメディアイベントが開催された。同製品は2009年の発表以来、注目を集めており、今年の4月には年間を通して使用可能な「ホット アンド クールAM04 ファンヒーター」の販売を開始。これでAM01からAM04までのエアマルチプライヤー全シリーズが出そろったことになる。
機能追及の結果としてデザインがある
同製品の特徴といえば、第一にデザインが挙げられるだろう。たしかに、従来の扇風機とまったく異なる、羽根のない円形パーツのスタイリッシュさは革新的であり、2010年のグッドデザイン賞を受賞している。
しかし、デザインは機能を追求する研究開発の結果であると、ダイソン株式会社 代表取締役・麻野信弘氏は語る。
「創業者のジェームズ・ダイソンが掲げる製品哲学は非常にシンプル。私たちの製品は、問題を解決するものでなければいけない。そして、きちんと機能するものでなければいけない。ダイソンといえば、どうしてもデザインが先に来るのですが、デザインはあくまで機能の結果であり、まずは機能です。実際に、毎年の利益の約2割を研究開発に再投資してビジネスを進めています。全従業員の3分の1を研究開発者が占めており、製品の開発に力を注いでいます。世の中をあっと驚かす、問題を解決する、ちゃんと機能する商品を送り出していくので、楽しみにお待ちいただきたい」
「あたりまえ」への疑問が起こした技術革新
同製品は、「空気増幅器」という名前にふさわしい仕組みを持っている。吸気口から最大で毎秒33リットルの空気を取り込み、ミックス フロー インペラーというモーターがパワフルな風を生み出すのだ。
この高速気流が円型パーツに付けられた翼型傾斜の上を流れることで、一定方向への風の流れを形成するのだが、まさにその気流が周辺の空気を巻き込むことによって、風量を取り込んだ空気の15倍にも増幅している。
目で見る、触る、体験する
同製品の仕組みをより理解してもらうため、この日はサイエンスプロデューサーとして著名な米村でんじろうの一番弟子、チャーリー西村によるライブショーが行われた。
最初に登場したのは大きな風船のリング。2台の同製品を向かい合わせにしてスイッチを入れ、その間に風船リングを置いてみせた。
すると、風船は宙に浮かんだまま、ゆらゆらと揺れているではないか。
この実験のからくりは、同製品が生み出した二つの風が、重なり合ったときに放射状に広がる、その風の流れに乗って風船リングが浮かぶというもの。神秘的な光景に会場からは拍手が起きた。
次に、静電気を使ってシャボン玉を操り、サーカスのライオンのように円形パーツの輪を何度もくぐらせて見せた。
また、同製品がどのように風を生み出しているのかを目で見て体感するための実験も行われた。まず、吸気口に吸い込まれる空気の動きを可視化するために用いられたのが、液体窒素とお湯で発生させた真っ白な霧。みるみる吸い込まれていく様子は圧巻の一言だった。
続いて大きなビニール袋を使い、同製品を丸ごと包み込んだ場合と、円形パーツの前にビニール袋を置き、周りの空気を巻きこんで風量を増幅する場合のスピードを比較。
その違いは明らかで、後者の場合は、巨大なビニール袋が瞬時に膨らむ。まばたきする間もないほどだ。
さらに、霧を使って、同製品が周辺の空気を引き込んでいく気流の動きを見せたときには、会場からは歓声が。数々の工夫を凝らしたパフォーマンスは、わかりやすく楽しめたと、参加者にも好評だった。
会場には、AM01が並べられたコーナーが設置され、実験に刺激を受けた参加者が円形パーツの中に風船を通してみようと次々と訪れていた。
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