東京ビッグサイトで5月30日から6月1日まで開催している通信モバイル関連のイベント「ワイヤレスジャパン2012」にNTTドコモが出展している。同社ブースでは、先進技術や研究開発の成果、および新商品・新サービスの紹介が体験型デモンストレーションやステージなどを通して行われている。

今回紹介されているものの中で、特に大きな注目を集めそうなのが「3Dライブコミュニケーションシステム」「透過型両面タッチディスプレイ端末」「ペリフェラルディスプレイ連携」の3つの取り組みだ。本稿で順を追って紹介していきたい。

3Dライブコミュニケーションシステム

3Dライブコミュニケーションシステムは、タブレットでテレビ電話中の相手と一緒にバーチャル空間を旅行できるというもの。タブレットを持って上下左右に向きを変えるとタブレットの映像も追従するので、あたかも自分が実際にその場所にいるような体験ができる。360度カメラで撮影された動画とタブレット端末の加速度センサーを組み合わせて利用している。

3Dライブコミュニケーションシステムのデモブース。テレビ電話で相手と会話しながら、それぞれ独立した視点で風景を体感できる

利用方法が単純化されているのも特長のひとつ。テレビ電話の会話の中で登場したランドマークや特定の地名、例えば「東京スカイツリー」や「水族館」、あるいは外国の地名などがネットワーククラウドにより抽出され、吹き出しとなって画面に表示されるので、ユーザーはそれをタップするだけでバーチャル空間に移動できる。製品化は未定だが、教育分野や旅行会社、建築・不動産関係など幅広い分野で活用できそうな技術だ。

ブースでは一般参加者がドコモの説明員とライブ電話で会話しながら、沖縄の美ら海(ちゅらうみ)水族館や月面などを擬似旅行するデモが行われていた

透過型両面タッチディスプレイ端末

透過型のタッチディスプレイを正面と背面の両面に搭載した端末が「透過型両面タッチディスプレイ端末」で、向こうが透けて見えるほど透過率が高い。これにより従来になかった新しい操作方法や独創的なフォルムのスマートフォン開発も可能になるという。

未来のスマートフォンに使われるかもしれない、透過型両面タッチディスプレイ

ブースのディスプレイで紹介されていたのは、ルービックキューブを使ったデモ。裏面からルービックキューブをタッチすることで動きを制止しつつ、表面でタッチ操作して回転させたいブロックだけを回転させるという遊び方だった。説明員によれば、ほかにもいらないアイコンを2本の指で表裏からこすることで「にぎり潰す」ような感覚で消去できたりと、ゲームだけにとどまらずスマートフォンの基本操作全般でも様々な応用ができるとのことだった。

ルービックキューブを使ったデモの様子。表裏両方のディスプレイを使って操作する

ペリフェラルディスプレイ連携

スマートフォンが取得した情報を、身の回りにあるディスプレイに自動表示するという技術が「ペリフェラルディスプレイ連携」。これは本人が忘れていた情報をディスプレイにポップアップ表示することで気付きを促してくれるもので、例えば街を歩いているときに近くのデジタルサイネージ(電子看板)に会員登録していたショップの割引セール情報が表示されたり、自宅でテレビを見ていたときにスマートフォンの音声着信の知らせが表示されたりする。

デモでは、デジタルサイネージの右下に「ポイント2倍」というショップ情報が表示される様子が確認できた(写真右)

通信はBluetoothで行われる。技術的な観点で言えばPCに実装するのは簡単で、テレビやカーナビなどへの転用もそれほど大きな障壁はないとのことだった。個人情報の保護やTPOの配慮は徹底して行う方針で、例えば街角のデジタルサイネージに情報を表示する際には、アバターを利用することで本人にしか分からないようにするのだという。

情報はアバターとともに表示されるので、「誰宛ての情報か」は本人にしか分からない(写真左)

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