筆者のような零細企業を営んでいる場合、資金繰りが大変です。なにせ銀行口座にお金がなくなったら、その時点でゲームオーバーですから。キャッシュがショートしそうになったら銀行にお金を借りに行かないといけません。銀行にお金を借りるのには、あっちに行ったりこっちに行ったりしないといけないのですが、みなさんはその苦労をご存じでしょうか(笑)。零細企業経営者の筆者がレポートします。
筆者が銀行からお金を借りるのに選んだ方法は、「セーフティーネット5号認定」を受けるというものです。これは「不況で売上が下がって困っている業者です」という地方自治体の認定を受ければ、金融機関で「信用保証協会の保証付き」融資が受けやすくなるというものです。
ちなみに信用保証協会の保証が付いた融資の場合、たとえば筆者の会社が倒産して借金を返せなくなっても、銀行が貸したお金は信用保証協会から戻してもらえます。銀行は安心してお金を貸せるという仕組みです。この融資がいいのは、悲劇の元になる第三者の保証人がいらない、無担保融資であることです。
地方自治体の担当課へ行く
まずは認定書をもらうために地方自治体の担当課に行きます。筆者の会社は文京区にあるので、窓口は文京区 経済課 産業振興係です。ここで必要書類を出して、認定を受けますが、その際に(お金を借りに行く)金融機関への斡旋(あっせん)書をもらうことができます。これを銀行に持って行くと話が早いのですが、斡旋書をもらうには以下の書類を出さなくてはいけません。
斡旋書をもらうのに必要な書類
斡旋書申し込み書
法人の印鑑証明書 1通
代表者個人の印鑑証明書 1通
直近事業年度の法人税申告書、決算書および法人事業概況説明書
法人都民税の納税証明書原本1通
法人事業税の納税証明書原本1通
法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)原本1通
(※例です。各自治体によって変わります)
お金を借りるのに、お金が必要というのもおかしな話ですが、上記の書類をそろえるにはお金がかかります。法人の印鑑証明書と法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)は法務局、代表者個人(文京区在住)の印鑑証明書と納税証明書は文京区役所で出してもらいます。面倒くさいですよー。
印鑑証明書1通:500円
代表所個人の印鑑証明書1通:300円
法人都民税の納税証明書/法人事業税の納税証明書1通:計800円
法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)原本1通:700円
ここまでのコストの合計は2,300円です。
銀行に行って出す書類
認定書と斡旋書をもらったら銀行に行きますが、銀行に行くと借金の申し込み書と同時に審査に必要な書類を出しますが、これがまた……うんざりするほどあるんですよ。
銀行に提出する書類
セーフティーネット5号認定書
斡旋書
借入申込書
法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)原本2通
法人都民税の納税証明書原本1通
法人事業税の納税証明書原本1通
消費税納付書のコピー
直近3期分の決算書
企業概要書
法人の印鑑証明書 2通
代表者個人の印鑑証明書 2通
試算表
事業計画書
(※他に個人情報の扱いに関する同意書などの書類がこまごまあります。また銀行によって変わります)
本当に嫌になりますね(笑)。でもここでくじけたらお金が借りられません。書類が2通となっているところがあるのは、銀行から信用保証協会に出す書類に添付するためです。銀行用と信用保証協会用なのです。銀行が信用保証協会に「この会社がお金を貸してくださいって来てますが、保証してもらえますでしょうか?」と審査用の書類を出すわけです。で、信用保証協会が「いいよ」なとなれば、その融資は「保証付き」となって、銀行が「貸してあげましょうか」となります。
印鑑証明書2通:1,000円
代表所個人の印鑑証明書2通:600円
法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)原本2通:1,400円
コスト合計:3,000円
認定書と斡旋書をもらうのに提出した印鑑証明書などの書類は返してもらえますから、それを銀行に出す時に流用すればコストの合計は以下になります。
お金を借りるのにかかったコスト
印鑑証明書2通:1,000円
代表所個人の印鑑証明書2通:600円
法人都民税の納税証明書/法人事業税の納税証明書1通:計800円
法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)原本2通:1,400円
自分の労力:プライスレス
コスト合計:3,800円
筆者はこれで300万円借りられることになりましたが、合計3,800円かかりました。法務局やら区役所やらをうろうろしたコストはプライスレスです(笑)。心労やら何やらでヘトヘトになりました。なんとなく釈然としないのは私だけでしょうか。
(谷門太@dcp)
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