「HSナイトショット」モードに驚いた

「HSナイトショット」モードも驚愕だ。人の目ではほとんど「真っ暗」な場所でも、驚くほど明るく写る。実際に使ってみないとそのすごさを体感できないかもしれないが、本当にわずかな光で撮影できるのだ。しかも三脚は必要なく、手持ちで撮れる。通常の夜景ならHS夜景モードで十分に対応できるのだが、HSナイトショットはさらに暗い場所や、少しでも速いシャッター速度が必要なときに有効だ。夜、赤ちゃんの寝顔を撮りたいときなども活躍するだろう。

ちなみに、HS夜景モードはISO 3200相当までの撮影感度だが、HSナイトショットはISO 12800相当まで自動で感度が上がる。HS夜景モードと比較して、より暗い場所で撮影でき、同じ明るさならシャッター速度も高くなるわけだ(手ブレしにくい)。

HSナイトショット

通常オート

通常オート+フラッシュ

プレミアムオートPRO

プレミアムオートPRO+フラッシュ

HSナイトショットで撮った写真はディテールが甘くなってノイズも多いが、ここまで暗い場所で「フラッシュを使わず」「手持ち」で撮れることが重要だ。また、プレミアムオートPROで撮影したものは、カメラ側の自動判別で「HS夜景」モードが使われている。

夜景+人物も手持ちで撮影できる

暗い場所で人物を撮影する際は「HS夜景と人物」モードを使うと、三脚を使わずに撮影できる。これは主に夜景をバックにした人物撮影モードだ。夜景を鮮やかに写し出すとともに、人物をフラッシュで明るくし、顔認識機能によって人物を適正露出で撮影する。「夜景+人物」モードを持つカメラは多いが、たいていは三脚を使わないと本当にきれいには撮影できないものだ。こうした夜景をバックにした人物撮影が、手持ちで手軽に行えるのはすばらしい。

「HS夜景と人物」モードを使うと、三脚を使わなくても夜景をバックにした人物をきれいに撮影できる。ある程度ズームしても失敗することは少ないが、昼間の撮影よりはブレやすいので、カメラをしっかり構えることを意識しておきたい

「HS夜景と人物」モードは、基本的には自動的でフラッシュが使用される。フラッシュ禁止に設定して撮影することもできるが、背景と同程度の光が人物に当たっていないと暗くなってしまう。フラッシュ禁止の場所なども同様だ。

こうしたシチュエーションでは、先述したHSナイトショットが役立つ。HSナイトショットでは顔認識が行われず、フォーカス合わせも画面中央に固定されてしまうが、「HS夜景と人物」モードとはまた違った柔らかい光の写真が撮れる。繰り返すが、HSナイトショットは「撮れること」自体が重要なのだ。

遠くに外灯があるだけの暗い場所でも、HSナイトショットならフラッシュなしで撮影できる。「HS人物と夜景」モードでもよいが、フラッシュの光が不自然になってしまう場合などは、HSナイトショットがおすすめだ(モデル:三橋愛永)

夜景の望遠撮影でも実力を発揮

一般的にコンパクトカメラの夜景撮影は、ズームを広角側にしたほうが失敗は少ない。広角のほうが手ブレの影響が少ないほか、コンパクトデジタルカメラのズームレンズは望遠側で開放F値が小さく(暗く)なるからだ。EX-ZR20に搭載されているレンズの場合、広角端は最大F3.3だが、望遠端は最大F5.9となり、ズームすると撮像素子(CMOSセンサー)に入ってくる光の量は半分以下になる。通常、夜景撮影はできるだけ広角側で撮影したほうがよいのだ。

ただ、EX-ZR20は高速連写&合成という技術のおかげで、望遠側で撮影してもブレにくく、失敗が少ない。望遠端で撮影したサンプル写真は、Exif情報によると1/8秒のシャッター速度だが、ほとんどブレていない。もちろん三脚は使わず、手持ち撮影だ。35mmフィルム換算で200mmの望遠撮影が、1/8秒相当のシャッター速度でほぼブレないというのはすごいこと(内部で高速連写するため、便宜上、1/8秒相当と記述した)。デジタル一眼レフカメラも含めて、普通ならまずブレてしまう状況だ。EX-ZR20は、夜景でも気軽にズームして撮影できると感じた。

「HS夜景」モードで撮影。左上は広角端の25mm、右上は73mm、左下は望遠端の200mmだ。200mmという望遠でもブレずに撮影できた