Windows 8が今年中に登場するのは既定路線ながらも、その詳細はいまだ明らかにされていない。この状況下でMicrosoft経営陣の発言に注目が集まるのは自明の理だが、昨日行われた同社のビジネスパートナー向けセミナー「Windows Partner Executive Summit」には、同社CEOであるSteven Ballmerが壇上に登場。そのスピーチ内容からWindows 8の発売時期が見えてきたので、同セミナーのレポートを踏まえつつ、Windows 8の発売時期を探る。
Microsoft CEOのSteven Ballmer来日。Windows 8への協力を求める
約二週間後と迫った事実上のRC(出荷候補)版となるWindows 8 Release Previewを控え、Microsoftは日本のビジネスパートナー向けに、「Windows Partner Executive Summit」と題したWindows 8の紹介を都内ホテルで行った。このような催しは、過去にも各Windows OSやOfficeスイートなど大型製品のリリース前に行われてきたが、注目すべきは同社CEO(最高経営責任者)のSteven Ballmer(スティーブ・バルマー)氏が来日した点である。
スピーチ内容はあくまでもゲストで来場したパートナー企業向けとして、日本を「世界三大市場の一つ」と称し、各IT企業を「世界でも有数の団結力を持つ」と賞賛。その一方でWindows OSを搭載したコンピューターの世界販売台数が、3億5,000万台と大幅に奮っていることをアピールした。「競合他社は6,000~7,000万台」と台数差を強調していたが、その競合他社がAppleであることは説明するまでもない。
また、日本のIT企業に対しては、「日本から生まれた優れたアイデアを世界に輸出することを期待している」と述べ、Windows 8向けハードウェアの準備やアプリケーションの提供など各面での協力を求めている。Windows 8に対する宣伝活動費も、過去最大規模となる20億ドルを投資すると発表。Windows Vista時代の宣伝活動費が数億ドルとされていることを踏まえると、力の入れ具合が伺える(図01~02)。
会場では、日本マイクロソフトWindows本部本部長の藤本恭史氏が、実機を使ったデモンストレーションを披露。Windows 8においてはアプリケーションを主体としたコミュニケーションではなく、コミュニケーションを主軸にアプリケーションを使用するスタイルになると紹介していた。個人的にはWindows 8のバージョンが気になったものの、デスクトップ画面が現れることもなく、確認できなかったのが残念だ(図03~04)。
今回のスピーチで興味深いのは、Ballmer氏が「Windowsの歴史の中でも、ワクワクする一年が始まる」と何度も主張している点。もちろん多くのユーザーは、Windows 8が今年後半から来年前半までにリリースされることは承知しているだろうが、同社から正式なアナウンスが行われた訳ではないため、あくまでも推測の域を超えない。
では、ここで過去のWindows OSが発売された時期を並べてみる。Windows XPがリリースされたのは、2001年10月25日(パッケージリリースされたのは同年11月16日)。Windows Vistaは2006年11月9日。そしてWindows 7は2009年9月1日(パッケージリリースは同年10月22日)と、第二四半期後半から第三四半期前半に集中している。Windows 8 Release Previewを六月にリリースすることを踏まえつつ、Ballmer氏の発言にあった「今年の後半には、Windows 8をプリインストールで提供可能」と述べていることから、Windows 8は2012年中に発売されると断言してもいいのだろう。
阿久津良和(Cactus)