独立行政法人の労働政策研究・研修機構はこのほど、「第6回勤労生活に関する調査」の結果を発表した。同調査は1999年より開始(不定期)。今回の調査期間は2011年11月23日~12月18日で、調査員による訪問面接にて行われ、20歳以上の男女2,264人から有効回答を得た。

それによると、「終身雇用」を支持する割合は、「良いことだと思う」と「どちらかといえば良いことだと思う」の2つを合わせると87.5%となり、前回(2007年)調査時の84.3%から3.2%増え、調査開始以来最高を記録した。

「組織との一体感」についても、過去最高となる88.1%の支持を獲得。また、賃金に関する項目でも「年功賃金」を支持する人は74.5%と同じく過去最高となった。

「終身雇用」を支持する割合について年齢階層別に見た場合、20歳代、30歳代の若年層(20歳代84.6%、30歳代86.4%)より、60歳以上(60歳代89.8%、70歳以上88.7%)で、わずかに割合が高くなっているものの、すべての年齢階層で8割以上を記録。

前々回(2004年調査)までは、年代が上がるに従って、「終身雇用」を支持する割合は高まる傾向にあったが、前回(2007年調査)で、20歳代、30歳代の若年層で「終身雇用」を支持する割合がともに10ポイント以上伸びて、年齢階層別の差は急激に小さくなった。今回調査では、さらに年齢階層別の差が縮まっている。

「終身雇用」年齢階層別支持割合の時系列比較(出典:労働政策研究・研修機構Webサイト)

複数の職業キャリアを提示し、その中から望ましいものを1つ選択してもらったところ、最も多かったのは「1企業キャリア」(「1つの企業に長く勤め、だんだん管理的な地位になっていくコース」「1つの企業に長く勤め、ある仕事の専門家になるコース」の合計)で50.3%に上った。とくに、20歳代で51.1%と前回調査より10ポイント以上伸びているのが目立った。

次に多かったのは「複数企業キャリア」(「いくつかの企業を経験して、だんだん管理的な地位になっていくコース」「いくつかの企業を経験して、ある仕事の専門家になるコース」の合計)で24.4%。一方、「独立自営キャリア」(「最初は雇われて働き、後に独立して仕事をするコース」「最初から独立して仕事をするコース」の合計)の割合は、調査開始以来最低の11.3%にとどまった。

仕事に関する満足度を、待遇や能力発揮、責任権限といった項目別で聞くと、「自分の能力が十分に発揮できる」ことに満足している割合が69.3%と最も髙かった。次いで、「責任を任されている範囲が広い」が63.7%、「仕事に新しいチャレンジがある」が54.2%、「努力に見合った待遇が得られる」が53.6%となった。

自分が日本の社会階層でどの階層に入ると思うかとの問いに対しては、90.2%が「中」(「中の上」「中の中」「中の下」の合計)と回答。社会的公平については、「不公平感」(「公平でない」「あまり公平でない」の合計)を感じている人が73.7%に上った。

また、これからの日本が目指すべき社会のあり方について尋ねてみると、「貧富の差の少ない平等社会」が38.6%、「意欲や能力に応じ自由に競争できる社会」が34.1%となり、前回調査に引き続き「貧富の差の少ない平等社会」が最も支持を集める結果となった。

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