シャープは8日にロボット掃除機「COCOROBO(ココロボ)」を発表した。人工知能やコミュニケーション機能を搭載する点が従来のロボット掃除機と異なる特徴となっている。製品についての概要は、ニュース記事でも触れられているが、本記事では当日行われた発表会会場での取材を基に、ニュース記事では触れられていなかった部分について紹介していきたい。

発表会で商品説明を行ったのは、健康・環境システム事業本部ランドリー事業本部長の阪本実雄氏。今回発表したロボット家電は、いわゆる"ロボットクリーナー"のカテゴリーに含まれる製品だ。

健康・環境システム事業本部 ランドリー事業本部長の阪本実雄氏

新製品ニュースにもあるように、COCOROBOは"気分"に応じた動作をする家電製品だ。その"気分"の部分を司っている部分(人工知能)を、同社では「ココロエンジン」と呼んでいる。COCOROBOは、シャープのロボット家電の第1弾という位置付けになっているが、同社ではココロエンジンを搭載した他のカテゴリーの製品についても検討しているとのことだ。

発表会場で阪本氏は「ユーザーの呼びかけに応えて、近くまでやって来るテレビなどというのも面白いかもしれない。もっとも、60V型の『AQUOS(アクオス)』が、ユーザーの近くに駆け寄ってくるとなると、その安全性についても考慮する必要があるでしょう」と語っており、今後何が出てくるのか期待が高まる。

シャープのロボット家電第1弾「COCOROBO」

スマートフォンからの操作も可能だ

各種センサーやカメラを装備する

COCOROBOは、専用アプリを使用することで、スマートフォンと連携させることもできる。対応OSはAndroid 2.3以降、またはiOS 5以降だ。操作モードはオートモードとマニュアルモードの2種類で、オートモードでは、COCOROBOの前面に配置されたカメラからの映像を見ることが可能。マニュアルモードでは、映像を見るだけでなく、スマートフォンをラジコンのコントローラーのように使用することができる。さらに、外出先から室内の静止画(4方向)を見ることも可能。

動画(クリックすると別ウィンドウで開きます)
COCOROBOの動作の様子。壁や充電用ステーションにぶつかる場面も……(再生時間約18秒、ファイルサイズ11.3MB)

COCOROBOの前面には、3基の超音波センサーを配置されており、家具や壁への衝突を防いでいる。ただし、上の動画を見てもらうと分かるように、絶対にぶつからないということはないようだ。

なお、障害物検知には超音波が使用されているが、犬笛などで使用される周波数帯域からは外れており、犬を飼っている家庭でも気にすることなく使用できるという。また本体の底面には、段差を検知するセンサーを3個搭載。階段などからの落下を防いでいる。

プラズマクラスターイオン発生デバイスを装備

水洗い可能なダストカップ。ダストカップの奥に見える"蛇腹"状の部分がHEPAフィルター

次は肝心の掃除機としての機能だが、約14,000回転/分の高速回転ターボファンを搭載した「強力吸じんシステム」によって、従来のロボットクリーナーに比べて高い捕塵率を誇っている。また、空気清浄器などにも採用されているHEPAフィルターを搭載。「プラズマクラスター7000」との相乗効果により、キレイな排気を実現している。ダストカップとHEPAフィルターは、ともに水洗いが可能だ。なおダストカップの容量は0.22Lとなっている。

一般的な掃除機のへッドに使用されるようなブラシを装備。ブラシはモータードライブタイプ

吸い込み仕事率に関しては公表されていない。これはCOCOROBOに限ったことではなく、ロボットクリーナー全体が吸い込み仕事率を公表していないためとのことだ。そのため、あくまで目安に過ぎないが、COCOROBOはバッテリーで動作するため、AC駆動の縦型クリーナーに比べるとパワーは少ないが、USBからの電源で動作するデスクトップクリーナーよりは高いパワーを持っているとのことだ。

バッテリーは、長い寿命と安全性を特徴としたリン酸鉄系のリチウムイオン充電池を採用。一般的なロボットクリーナーで使用されるバッテリーはニッケル水素充電池で、充電可能回数は約300回。それに対してCOCOROBOのバッテリーは約1,200回の充電が可能だ。これにより、バッテリー交換回数や交換費用を減らすことができるという。もちろん、交換費用には、バッテリーの価格がいくらなのかという点を抜きにしては考えられない。同社によると、現時点で価格は決定していないが、一般的なロボットクリーナーに使用されるニッケル水素充電池(1万円前後)の1.5倍程度の価格を目指しているという。

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