米国でA100のICSアップデートが始まる

Acer ICONIA TAB A100は、7インチのタブレットです。日本国内でも販売されていますが、筆者は米国で購入しました。米国では、A100のAndroid 4.0(ICS:Ice Creame Sandwitch。4.0の開発コード名)へのアップデートが開始されています。

ICONIA TAB A100

ICSには、いくつか強化点がありますが、A100は、NFCハードウェアを持っていないなどのハードウェア的な違いもあり、すべての強化ポイントが利用できるわけではありません。また、カメラの解像度の関係から顔を認識してロックを解除する「face Unlock」も入っていません。

そのほか、すでにアップデートしたNexus Sに比べると細かいところで違いがありました。特に設定関係は、大きな違いがあります。Nexus Sは、グーグル自身が提供しており開発者が利用する標準プラットフォーム的な位置づけでもあり、細かな設定が可能になっています。たとえば、画面をタッチした場所を半透明の円で表示したり、内蔵GPUによる描画をオンオフする機能などですが、A100には、こうした設定もありませんでした。一般ユーザーが利用するマシンとしては、こうした開発者用の機能は不要ということなのでしょうか。

A100では、設定の「開発者向けオプション」(Developer Options)のところは4項目しかない

Nexus Sの場合開発者向けオプションに多数の設定項目がある

アップデートはAndroid 4.0.3

Android 4.0は、すでにいくつかマイナーバージョンアップが行われており、最新のものは4.0.4です。ですが、A100のICSアップデートでは、Android 4.0.3になっています。4.0.4は、4.0.3のリビジョン2という位置づけになっており、内部的な改修はあるものの、見た目の機能は4.0.3と同じです。同じICSでも、Android 4.0~4.0.2までと4.0.3は区別されています。アプリケーション側から見たシステムの違いを表すAPI Levelが違っているのです。

ICSは、スマートフォン用の2.3.xとタブレット用の3.xを統合したバージョンです。このバージョンからタブレットもスマートフォンも同じAndroidを使うようになります。4.0自体の出荷は、昨年なのですが、新規搭載ハードウェアが優先されていたためか、既出荷のハードウェアに対するアップデートは、最近ようやく始まったばかりです。

筆者は現在米国で取材中で、その間にアップデートを済ませることができました。一般に複数の国でローカライゼーションされて販売されている機種では、こうしたアップデートは、対象地域内からでないと通知が行われないようです。メーカーによっては、アップデートイメージをファイルとして配布しているところもあるようですがA100の場合、設定にある「About Tablet」の「System Update」から手動でチェックを行わせるか、自動チェックにしておくことでアップデートの通知が行われます。

実際には、ICSへのアップデートの前に以前のバージョンであるHoneycomb(3.2.1)のアップデートをすべて済ませておく必要がありました。A100は、3.2で発売され、その後3.2.1にアップデートされたのですが、3.2.1にもいくつかアップデートがあり、ICSのアップデートが開始されるまでに結構時間がかかりました。ホテルの回線があまり太くなかったので、結局一晩かかってしまいました。

アップデートされたA100。ICSのバージョンは4.0.3

ICSにアップデートするメリットとは?

ICSにアップデートするメリットはいくつかあります。1つは、HoneycombやGingerbreadと比べてユーザーインターフェースや標準アプリケーションが改良されている点です。もちろん、システム自体も改善されています。

もう1つは、Googleが提供しているChrome Betaが使える点でしょう。これは、PC用などに提供されているWebブラウザChromeのAndroid版で、現在はICSでのみ利用が可能です。PCのChromeとほとんど同じで、各種のWeb上のサービスを使うときに便利です。たとえば、Facebookのアクセスは、Android用アプリケーションに比べると各段に楽になります。もっとも、これはAndroid用のFacebookアプリの出来に影響されている部分がありますが。

ただ、Android 4.0であることにはデメリットもあります。一部のアプリケーションはICS対応していないため、動かなかったり、動いても不具合が出る場合があるのです。原則、Androidでは、過去のバージョン向けに作られたアプリケーションは動くはずなのですが、タブレットで解像度が大きく上がったことなどで、表示する項目が増え、メモリの利用量などが増え、動作に影響を与えることがあるのです。

ですが、A100の場合、もともとがHoneycombなので、どちらにしてもタブレットで動かないアプリケーションは動かなかったので、デメリットもスマートフォンで使うICSに比べると小さいといえるでしょう。

六月には、次のAndorid 5.0になる予定のJerry Beansが登場する予定と言われています。そうなると、ICS以後の機種が急速に増えることになると思われます。このため、アプリケーションの対応もかなり進むことになるのではないかと考えられます。

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