GIGABYTEは、「GIGABYTE Tech Tour 2012」を開催した。同社の最新技術を紹介する説明会で、今後リリースされる予定の製品や、その製品で採用される新技術が、今回明らかにされた。
今後発表予定の新製品として紹介されたのは、GeForce GTX 680を搭載した究極のオーバークロックカード「GV-N680SO-2GD」。「GPU GAUNTLET Sorting」として、OC特性の高い選別されたGPUを採用するほか、クーラーも新たな製品を搭載している。
まずクーラーには新開発の「WINDFORCE 5X」が採用されている。これまでグラフィックスカードでは、シングルファンからデュアルファン、トリプルファンへと進化してきた。同社製品でも、ハイエンドモデルを中心にトリプルファンのWINDFORCE X3が採用されているが、この製品ではそれを超える5連のファンを搭載するのが特徴的だ。合せて140×90mmとGPUに対してもかなり大きなヴェイパーチャンバーや、9本の6mm径ヒートパイプを採用し、ヒートシンクの厚みも3スロット分と大型なものとなっている。
6mm径のヒートパイプを合計9本妻用するほか、厚みのあるヒートシンクで、搭載するには3スロットぶんのスペースを要する |
5つのファンは1基だけ少し奥まった部分に搭載。補助電源コネクタは6+8ピンで、SLIコネクタも通常のGeForce GTX 680同様に2基搭載している |
WINDFORCE 5Xの5連ファンは、カードの上部に搭載されており、空気を吸い上げる方向に回転するのがユニークだ。同社の説明によると、グラフィックスカードの下にできる熱だまり「Heat Zone」の熱を効率良く吸い上げる効果もあるという。ヴェイパーチャンバーやヒートシンク、ヒートパイプの組み合わせにより、リファレンスクーラーと比べた一定騒音値あたりの放熱性能は46%から最大で97%ほど向上しているという。例えば35dBという騒音値では、約240W程度の消費電力をサポートできるとされる。静音性の面では、ファンのマネジメントを自動化し、回転数および、個別に停止させるというアプローチで冷却性能と静音性のバランスを確保するとされる。
35dBという騒音値の場合で、リファレンスクーラーと比べ46%ほど放熱性能が向上し、より高い騒音値でも良ければ97%も性能が向上するという |
GPU温度に対する動作音のグラフ。ダイナミックスマートファン機能により、回転数の制御と、より低い場合にはファンの停止を含めたきめ細かなファンコントロールを行う |
電源回路は8フェーズ。リファレンスカードの4フェーズと比べて倍となる。ただし、同社によれば多ければ良いというわけではなく、最も効率が良かったのが8フェーズだったと説明している。同時に、NECトーキン製のプロードライザを4基採用することで、電流ノイズを抑えつつ、大容量電流を素早く供給できるとしている。
オーバークロックソフトウェアでも、新たなツール「OC Guru II」の提供が予定されている。現時点ではまだ開発中とのことで、イメージ画像が公開されたが、モニタリング機能を備え、GPUクロックとメモリクロック、ファンの回転数や動作モード、電圧、GeForce GTX 680の「電力ターゲット」といった項目が用意されている。
コントロールソフトには、新ツールの「OC Guru II」が採用される予定。こちらのツールは6月下旬のリリース予定とされる |
現行ラインアップで採用されているトリプルファンのWINDFORCE 3X。GPU部分に搭載されているTriangle Coolという三角形の構造が効果を高めていると言う |
Triangle Coolでは、ヒートシンクのフィンの間をアルミで埋めている。これをGPU接触面に採用することで、熱の吸収に効果を発揮するとのことだ |
こちらはまもなく登場する新製品。「GV-N690D5-4GD-B」はデュアルGPUのGeForce GTX 690を搭載する製品だ。仕様およびデザインはリファレンス仕様に沿った内容となっている |
なお、GV-N680SO-2GDは、現在のところまだ仕様が固まっていないとのこと。動作クロック等に関しては、今後変更される可能性もある。
今回の製品はNVIDIAのGPUを搭載していることもあり、NVIDIAからもGeForce GTX 680に関する説明があった。とくにGeForce GTX 680のオーバークロック機能に関しては、GPU Boostという新機能が搭載されているが、これがメーカー版OCカードでどのような動きをするのかが説明のポイントとなっていた。
GeForce GTX 600シリーズで搭載された新機能「GPU Boost」は、様々なパラメータをGPUが読み取り、動作クロックや電圧を調節する |
通常のGPU Boostは、安定動作するクロックと電圧とのコンビネーションがひとつのライン(NVIDIAでは安定動作保証ラインと呼ぶ)となり、そのライン上でクロックと電圧が変動する |
まず、GeForce GTX 680のTDPは195Wとされているが、リファレンスカードでは電力ターゲットを170Wに設定している。ユーザーができるオーバークロックとしては、まず電力ターゲットを引き上げる方法があると言う。170Wの電力ターゲットを引き上げれば、そのぶんGPU Boostの幅が広がるというわけだ。また、クロックオフセットという方法もある。GPUクロックを引き上げることで、ベースクロックとBoostクロックはそれぞれ引き上げられる。ただし、同社の説明によればこれらは動作保証の無いオーバークロックとのことだ。
電力ターゲットを引き下げることで、GPU Boostでの上限クロックも引き上げられる |
動作クロック自体をオフセットする方法でもオーバークロックは可能。ただし早い段階で電力ターゲットの上限に達する可能性もある |
一方で、メーカー版オーバークロックでは、電圧と周波数のライン上をそのままスライドする形でのオーバークロックが可能とされる。その上で、GV-N680SO-2GDのように選別品のGPUを搭載する製品などでは、オフセットを組み合わせたオーバークロックも可能と言う。これらの情報はグラフィックスカード上に書き込まれるものだが、メーカー版オーバークロックでは、メーカーの保証する安定動作保証ラインへと書き換えられているとのことだ。加えて、そのほかのGPU Boostの楽しみ方として、電力ターゲットを下げることによる低消費電力化や、FPSターゲットを適用することで快適なフレームレートを維持しつつ消費電力を下げるというテクニックも紹介された。
メーカー版オーバークロックの場合、まず安定動作保証ライン上でクロックや電圧の幅を引き上げることができる |
オフセットも組み合わせたオーバークロックができ、安定動作保証ラインもメーカーによって書き換えられる |
GV-N680SO-2GDを搭載したデモ機でGPU Boostの挙動を確認。GPU Boost時で最大1241MHz駆動していたが、まだ仕様が確定されていないため、実際の製品でのクロックは不明。この状態でも電力ターゲットの70%程度とのこと |
GPU Boostは、オーバークロックだけでなく、省電力方向にも活用可能と紹介 |
GIGABYTEのゲーミングデバイスも登場する!?
また、GIGABYTEによるゲーマー向けキーボード&マウスも紹介された。
まず「Aivia Osmium」と名付けられたキーボードには、ゲーマーの要求に応える機能が搭載されているという。Tsai氏はゲーマーのニーズとして4つの項目を挙げた。触感(フィードバック)、レスポンス、キーストロークという3点に関しては、これらのニーズを満たす独Cherry製の赤軸キースイッチを採用しもう1点、複数キー入力の信号損失対策としては、全てのキーにアンチゴースト機能を搭載したと言う。ほか、プログラマブルマクロキーや、キーボードバックライト、オーディオボリュームコントロールホイール、アームレスト、そしてUSB 3.0ハブ機能も備える。
Cherryの赤軸を採用した理由に関しては、キーストロークが45gとライトな荷重が長時間のゲームプレイに適しており、接点まで2mmという点が素早い操作を可能とすると説明している |
5つのマクロキーを搭載し、5つのセットを切り換えながら利用することが可能 |
「Aivia Krypton」と名付けられたマウスは、滑りの良い低摩耗セラミック製マウスフィートと、もうひとつテフロン加工のマウスフィートをバンドルし、ユーザーの感覚に合せて交換できる。また、左右対称のデザインで利き手を選ばないことに加え、ウェイトと重心のカスタマイズ機能も利き手を選ばない設計となっている。なお、利き手の変更も、ボタンの長押しによって簡単に切り換え可能だ。ゲーマー向けには当然のことながら、マクロエンジンを搭載しており、それを管理するツールはAivia Osmiumキーボードと共用となる。