ソフトバンクBBが提供する「Performance Audio Mini」は、多機能なBluetoothスピーカーシステム。まずスピーカーとしては、コンパクトながら音がとても良い。そして、携帯電話とBluetooth接続すればハンズフリー通話が可能になる。さらには、モバイルバッテリーとして他の電子機器を充電することができるのだ。1台で3役をこなしてくれる本製品、市場での実売価格は6000円から7000円ほど。
本レビュー記事は、Android情報を専門に取り扱う僚誌「AndroWire」の連載『自腹ガジェット道場』を再構成したものです。
本製品はBluetooth標準規格 Ver.2.1+EDRが利用できる機器であれば、スマートフォンのほか、タブレット端末やBluetooth対応の音楽プレイヤー(A2DPに対応していることが必須)などさまざまな製品で利用できる。また、音声入力端子を備えているので、通信機能をもたない機器でも有線接続で使うことが可能だ。
音楽を聞いてみよう
本製品はSRS WOW HDを採用している。これは低音域の厚みと高音域の音の抜けに定評がある、SRS社の立体音響技術だ。どんな風に鳴ってくれるのか、これが購入前から楽しみで仕方なかった。以下は、筆者の個人的な感想を交えてのレビューである。
まず、なるほど立体音響技術とはこういうものかと感心した。一音一音が明瞭で粒が際立って聞こえ、かつ各音域でバランスよく響く。この結果、音の造形が立体的に聞こえるというわけだ。音圧にまかせて音の塊をぶつけてくるようなタイプのスピーカーとは違い、広がりをもった音が住空間を満たしていくような印象。これは上向きスピーカー×立体音響技術の組み合わせならではの効果なのだろう。本製品でアコースティックライブの音源を聞いたところ、すぐそこで誰かがギターを弾いているような錯覚に陥り、幸せな気持ちになった。
ダイナミックレンジの広い曲、例えばクラシック音楽などを本製品で聞く場合にもSRS WOW HDは有効に働く。ピッチカートなどの繊細な音も豊かに鳴り、それでいてフォルティシモ(強奏部分)でも音が割れることがなかった。また、スピーカーの内部で音が共鳴する構造なので、本体の小ささに見合わない伸びやかな響きを味わうことができた。連続音楽再生時間は約7時間。バッテリーが大容量なので、電池残量を気にすることなく使用することができる(ACアダプターにつないだ状態での利用も可能)。
上向きスピーカーで音が放射状に広がるため、部屋のどこに置いても充実した音質で音楽が楽しめる本製品。スピーカーの置き場所に困っているユーザーにもオススメできる。また、パーティなどでも活躍してくれることだろう。
ハンズフリー通話を試す
本製品では、携帯電話でハンズフリー通話を行うことができる(HFPへの対応が必須)。ハンズフリー通話とは文字通り、手ぶらの状態で電話をすること。音声着信があると本機スピーカーから着信音が鳴り、ハンズフリー通話ランプが点滅する。点滅のボタンを押すと受話し、通話中にもう一度押すと終話する仕組みだ。
通話用マイクは本体上面にある。使用してみたところ、マイクからある程度離れた場所からでも、こちらの声が相手に伝わっていることが確認できた。また、Bluetooth接続で音楽を聞いているときに電話があったが、このときは再生が中断されスピーカーから着信音が鳴った。音楽は終話後、続きから再開された。連続通話時間は約45時間。料理中で手が離せないときのハンズフリー通話用に、あるいは会社での電話会議用に。ほかにもアイデア次第で、様々な使い方ができそうだ。
モバイルバッテリーとして使ってみる
本製品はバッテリーが本体と切り離せるようになっている。モバイルバッテリーとして利用する場合は、このバッテリー部分だけを持ち歩けば良い。容量は2950mAh。これは電池容量が1500mAh前後の空のスマートフォンを約2回、満充電にできる大きさである。まったく、モバイルバッテリーとしても頼り甲斐のあるやつだ。
本バッテリーのUSB電源出力端子とスマートフォンをケーブルでつなぐと、すぐに充電が始まる(ケーブルは本製品に同梱されていないので、別途用意する必要がある)。バッテリーの充電に必要な時間は、約7.5時間。夜、寝る前に充電を開始すれば、朝、満充電の状態で外に持ち出すことができる。もっとも、本製品を常にACアダプターに接続して使用しているのであれば、いざというときにいつでも持ち運べてより便利だろう。
スピーカーとしては大きな製品に匹敵する音質と音量を期待でき、ハンズフリー機器としても申し分なく、モバイルバッテリーとしても手軽で使い勝手が良い。本稿でお伝えしてきた通り、Performance Audio Miniは無駄がなくコストパフォーマンスが抜群の製品だった。スピーカー、ハンズフリー機器、モバイルバッテリーのいずれかを探しているユーザーにはもちろんのこと、もうスピーカーなら持っているよ、という人にも「絶対、損させないから」とオススメしたくなる筆者であった。
(参考) 本製品で使用するBluetoothプロファイルの説明
・A2DP:音声データをBluetooth機器に飛ばすためのもの
・AVRCP:プレイヤーの操作をリモコンで行うためのもの
・HFP:ハンズフリー通話をするためのもの
(記事提供: AndroWire編集部)