株式会社講談社のFRaU編集部は4月12日、「仕事、結婚、出産。女子学生のためのライフプランニング講座」を開講した。講師に国立成育医療研究センター不妊診療科医長・齊藤英和氏と少子化ジャーナリストであり作家の白河桃子氏を招き、大妻女子大学家政学部ライフデザイン学科の特別講義として開催。齊藤氏と白河氏は、同社発行の書籍「妊活バイブル~晩婚・少子化時代の女のライフプランニング(講談社プラスアルファ新書)」を共同で執筆している。

晩婚化が進む現在、実際に女性が子どもを持ちたいと思う年齢と、実際の生殖学的妊娠適齢期の間には大きなギャップが生じている。この講義では、「いつまで子どもを産めるのか」というテーマを若いうちに正しく学び、将来のライフプランニングについて女子学生たちが考えるきっかけをつかむことが目的だ。

同大学教授・小澤千穂子氏の授業「暮らしと社会保障」の特別講義として開催され、これから就職活動を控える大学3年生を中心に約60名が参加した。

「仕事」と「妊娠」について考えるのは早いほうがいい

不妊治療の最前線で活躍する齊藤氏は、女性の体や妊娠をめぐる現状について講義した。

卵子は生まれたときにはすでにつくられており、その数は約200万個。それが初潮を迎える思春期には30万~40万個に減少する。しかし、講義前に行われた妊娠についてのクイズでは、卵子が作られるのはいつかという問いに対し、約7割以上の学生が「月経開始の前の週」と回答。自分の体について、正しく理解している学生は少ないのが現状だ。

日本はOECD加盟国の中では、女性の第一子出生時の平均年齢が高いことも指摘。年齢別に排卵と妊娠率の関係をみてみると、19~26歳では50%、加齢が進むごとに減少する。また、卵子の劣化や不妊治療に関する現状を、データを見せながら解説した。

「寿命が延びたといわれていますが、妊娠できるタイミングは変わりません。1年でも早く妊娠・出産に向けて行動することは、不妊治療よりも効果があります」(齊藤氏)

「ライフプランを考えるときに、妊娠のことも考えてほしい」と齊藤氏

「仕事」「結婚」「子ども」のワークライフバランスが重要

「『婚活』時代」などの著書を持つ白河氏は、女性のライフプランニングについて説明した。女子学生の親世代といまでは、ライフスタイルが大きく変化していることを指摘する。

親世代の若いころは、学校卒業後に就職し、結婚・出産を機に退職、子育てが落ち着いたころに復職するという、「人生のベルトコンベア」ともいえる流れが主流だった。しかし現在では、子育て後に社会復帰をしようとしても、正規社員として雇用されるのは4人に1人。しかも、子どもが3歳未満のうちに復帰を希望する傾向がみられるそうだ。

これは、若い層の収入ダウンが背景にあるといえる。白河氏は、仕事、結婚、子どもの3つのワークライフバランスを考えることが重要だと女子学生たちに語りかけた。

また、女性に注目されている「妊活」というキーワードについて言及。現代では意志を持って授かる時代であり、そのために必要な知識とライフプランニングについて解説した。

出産適齢期といわれるのは20~35歳。しかし、その時期は女性のキャリア形成にとって重要なときでもある。育児休暇の制度があっても申請しにくい会社の風土もあるため、就職活動の際にはその点も考慮したほうがいいとアドバイスした。

女性が乗り越えなければならないハードルを学生にわかりやすく講義した白河氏

妊娠・出産を経験した先輩からのアドバイス

最後に、実際に産休・育休制度を利用した女性2名を招き、自身の妊娠&復帰プランが語られた。大企業から小規模企業に転職した千葉朋子さんは、個人を重視してくれるので助かっていると、小規模会社ならではのメリットを教えてくれた。

今年4月に復帰した松田絵奈さんは、就職活動のときには子どもを持つということについてイメージしていなかったという。また、社内でも職種によっては休暇を申請しにくいことや、保育園の問題といった現状を語った。

学生たちとともに、齊藤氏と白河氏の講義を聞いていた千葉さんと松田さん。「妊娠や出産など、こういう話を自分も学生のときに聞いておきたかった」と声をそろえた。

女性の先輩として経験談を語った松田さん(中央)と千葉さん(右)

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