シャープ 健康・環境システム事業本部プラズマクラスター機器事業部長 鈴木隆氏

シャープは4月11日、"プラズマクラスター"搭載扇風機の新製品発表会を開催した。

プラスとマイナスイオンの効果で除菌や脱臭、保湿効果などを謳うシャープ独自の機能"プラズマクラスター"。空気清浄機をはじめ、各種家電製品にも搭載商品を展開するなど、同社はラインナップの拡充を続けている。2011年以降、省エネ意識の高まりで扇風機の役割が見直される中、今回発表された新製品では、風に長時間当たる使用者の健康を考慮。優しく穏やかな風を送り出すことにこだわって作られている。


「スリムイオンファン PF-ETC1」

新カテゴリーの「スリムイオンファン PF-ETC1」

今回発表された3製品中、新たな製品カテゴリーとして登場したのは「スリムイオンファン PF-ETC1」。プラズマクラスター発生専用機と同等の高濃度"プラズマクラスター25000"を搭載し、今回発表された中では最もイオン機能が高い製品となっている。

縦型のタワー状のスタイリッシュな形状も特徴的で、同社の健康・環境システム事業本部プラズマクラスター機器事業部長の鈴木隆氏によれば「テレビがスリムなったのに、従来のデザインの扇風機では部屋の雰囲気に合わない」と、リビングの薄型大画面テレビの横に設置しても違和感のないデザインを意識したとのことだ。

また、同製品では送風機構に、DCモーターとトンボの羽の形状を模したファンを採用。これにより、最小の風量運転時で17dbという静音化が実現されており、機能的にもテレビ脇への設置を意識した配慮が図られている。

さらに、DCモーターにより、きめ細かな風量の制御を可能にしたという。DCモーターは、AV機器の音量調節のように、風量の段階的な切り替えが可能。調節可能な風量レベルは32段階。湿度・温度センサーと照度センサーも搭載し、部屋の温度や湿度、照度に応じて、風量の自動調整も行える。DCモーターは電力消費量も低いため、最少風量での運転時の消費電力はわずか2Wに、また最大運転時でも24Wにまで抑えられている。

本体上にある、スリムイオンファンの操作パネル部。3つのセンサーが備えられている

本体天井部にある、スリムイオンファンの操作パネル部

同製品の特徴のひとつとして、外部に羽根がなく安全性も優れている点が挙げられるが、送風ファンの機構にも独自の工夫が施されている。送風のシステムとして、空気力学に基づいて設計された"エアロダイナミックフォルム"という独自技術を採用。本体上部に設けられた約50cmのノズル部分は、送風経路が少しずつ広がっていく構造となっている。これにより、下部のファンで生成された風を風速1/2程度まで徐々に低下させて穏やかな風に変えることが可能で、残りのエネルギーは押し出す力に変換されるという。

さらに、吹き出し口の幅を細く絞ることで、風がより遠くまで届くように設計されている。これは、水道のホースを指で押さえると、水が遠くまで届く原理を応用したものだという。

スリムイオンファンの風向き範囲

着脱式のパネルを採用し、内部の手入れも手軽に行える

空気力学に基づき設計された"エアロダイナミックフォルム"

ハイポジションリビングファン「PJ-CXH」・3Dファン「PJ-B2CS」

「プラズマクラスター扇風機 PJ-CXH」

一方で、一般的なリビング扇と同様のタイプにあたるリビングファン「PJ-B3CXH」も発表。これは、2011年6月に初めてプラズマクラスター搭載扇風機として発売された「PJ-A3LL」の後継機にあたる製品で、"アサギマダラ蝶"の羽の形状を模した羽根を採用している。ムラを抑えて広がりがあり、かつ滑らかな風を生み出すことができるよう改良されているのが特徴だ。

ハイポジションリビングファンの羽の形状の新旧比較

シャープでは、「優しい風を届けるための手法として、羽根の枚数を増やすというのが各社の主流だが、シャープでは羽根の形状を工夫することでそれを実現した」と独自技術を強調し、「従来の扇風機では外側の風が強くなってしまうが、羽根に"うねり"と"くびれ"を設けることで風が均一化される。これにより、7枚の羽根で14枚相当の柔らかい風を発生させられる」と説明している。


「プラズマクラスター扇風機 PJ-B2CS」

さらに新たなラインナップとして、プラズマクラスター扇風機3Dファン「PJ-B2CS」も発表。上下10~90度、左右90度の自動首振りが可能で、部屋の空気を撹拌する効果が高いサーキュレーター的扇風機という位置付けだ。直進性の高い風を生む"アホウドリ"の細く鋭い翼の形状に着目し、その翼を模した羽根の形状を採用。支柱の長さを最小にした場合でも約10m先まで風が届けられることが特徴だという。

PF-ETC同様に、PJ-B3CXH、PJ-B2CSも駆動部にはDCモーターを採用。最小運転音はそれぞれ16db、17dbと静音化が実現されており、最小運転時の消費電力3.5W、1.8Wと低く抑えられている。プラズマクラスター濃度は、冷蔵庫や洗濯機などに搭載されている"プラズマクラスター7000"がともに搭載されている。

3Dファンの羽根。アホウドリの翼からヒントを得て、直進性の高い風を生む

3Dファンの操作パネル部。風量設定は8段階

真上90度までの首振りが可能で、室内の空気をムラなく撹拌できる

PF-ETC1は5月15日発売で、推定市場価格は40,000円前後。PJ-B3CXH、PJ-B2CSはともに5月18日発売で、推定市場価格はそれぞれ25,000円前後、PJ-B2CSが22,000円前後。


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