Adrenaline導入の効果を知るために、いくつかベンチマークテストを行ってみた。まず、ディスクのデータ転送速度を計測する「CrystalDiskMark 3.0.1c」だが、導入前のシーケンシャルリードは78.51MB/s、シーケンシャルライトは75.75MB/sだったが、導入後はそれぞれ492.3MB/s、113.7MB/sに向上している。シーケンシャルリードは、最近の高速SSDと比べてもひけをとらない値だ。もちろん、これはキャッシュにヒットした場合の速度であり、HDD全域にわたってアクセスする場合にこの速度が出るわけではないが、体感的にもはっきりと差が感じられた。

Adrenaline導入前(写真左)と導入後(写真右)のCrystalDiskMarkの結果。導入後はシーケンシャルリードの速度が約5倍に高速化されており、ランダムリード/ライトの速度も大きく向上している

次に、ベンチマークソフトの「PCMark 7」と「PCMark05」を利用して、パフォーマンスを比較してみた。PCMark 7については全部のテスト項目を実行し、PCMark05についてはHDDパフォーマンスを計測するHDD Testのみ実行した。結果は下の表にまとめた通りで、ほとんどの項目で1.5倍から2倍程度と、大幅な性能向上が見て取れる。

さらに、電源オフの状態からWindowsの起動にかかる時間を計測したところ、こちらも55秒前後から35秒前後へと20秒も速くなった。約4.6MBのPowerPoint文書を開く時間も、6.5秒前後から1.5秒前後へと大きく短縮された。

■ PCMark 7
Adrenaline導入前 Adrenaline導入後
PCMark score 2955 4470
Lightweight score 2344 4794
Productivity score 1859 4253
Creativity score 3462 4953
Entertainment score 3535 4221
Computation score 4625 4688
System storage score 1815 4989
■ PCMark05
Adrenaline導入前 Adrenaline導入後
HDD Score 6002 11456

Windows 7の再インストールなしで大幅に高速化

筆者は最初、ディスクキャッシュソリューションということで、ある程度使い込む必要があるのではないかと考えており、導入後すぐに大きな効果が得られることに驚かされた。

キャッシュ用SSDの性能が高いだけでなく、ディスクキャッシュソフトウェアのDataplexも優秀なのであろう。SSDをシステムディスクにした環境には及ばないものの、1万円程度の投資でこれだけ性能が向上するのであれば、費用対効果はかなり高いといえる。Windows 7の自作デスクトップPCを使っていて、Windowsを再インストールせずにディスクパフォーマンスを高めたいという人には、特におすすめしたい製品だ。


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