主に自作PCユーザーの間で、最近人気のデバイスがSSDである。SSDは外部記憶装置の一種で、HDDとほぼ同じ役割を果たすが、HDDと違って機械的に動作する部分がないため、ランダムアクセスが非常に高速であり、衝撃にも強い。容量単価はHDDに比べるとまだまだ高いが、システムディスクをHDDからSSDに変更することで、Windowsやアプリケーションの起動、ファイル操作、機能呼び出しなどが格段に速くなるので、一度SSD環境の快適さを知ると、もはやHDDには戻れない。
しかし、一からPCを組む場合はともかく、すでに大容量HDDをシステムディスクとして使っている場合、システムディスク全体を容量の小さいSSDに移行するのはなかなか大変な作業だ。また、512GB以上のSSDは現在もかなり高価であり、大容量が必要な用途にもSSDは導入しにくいのだが、HDD搭載PCのディスクアクセスを高速化したいというニーズは大きいと思われる。
そこで、マイクロンジャパンのレキサー事業部から登場した「Crucial Adrenaline」だ。HDDのパフォーマンスを高めるキャッシュ専用SSDで、実売価格も1万円前後と手ごろ。HDDを搭載搭載した自作デスクトップPCのディスクパフォーマンスに不満がある人には、特に気になる製品であろう。Crucial Adrenalineを導入することで、2倍から最大8倍の高速化が可能になるとしているが、その実力はどれほどか、早速レビューしてみた。
Windows 7の自作デスクトップPCならほぼ対応可能
Crucial Adrenaline(以下Adrenaline)は、SSDをHDDのキャッシュとして使うことで、HDDのパフォーマンスを高めるSSDキャッシュソリューションである。コンセプトは、Intel Smart Response Technology(Intel SRT)に似ているが、Intel SRTは一部のチップセットしかサポートしておらず、新たにシステムをインストールする必要がある。
これに対し、Adrenalineは対応するハードウェアの範囲が広い。既存のシステムに追加して、Windows 7を再インストールせずにそのまま利用できることが特徴だ。Adrenalineの動作環境は、OSがWindows 7、ストレージがSATA HDD(複数台も可能)、ストレージコントローラがMicrosoft AHCIコントローラ、Intel RAIDコントローラ、Intel AHCIコントローラ、AMD AHCIコントローラ、レガシーIDEコントローラのいずれかとなっており、基本的にWindows 7搭載のデスクトップPCならほぼ問題ないと考えてよい。ただし、キャッシュのターゲットとなるHDDの容量は2TBまでという制限がある。
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