東北大学はこのほど、「子ども手当」制度の平成23年度末の終了にあたり、同制度の効果を検証する目的で実施したアンケート調査の結果を発表した。同調査は、同大学大学院経済学研究科吉田浩教授の研究室が、同制度の受給対象となった中学生以下の子どもがいた世帯を対象に、インターネット上で行ったもの。調査期間は3月16日~20日、有効回答数は423サンプル。

まず、子ども手当の使用状況について尋ねたところ、「ほぼ全額貯蓄した」が46.1%、「ほぼ全額支出した」が33.1%と、大きく分かれる結果に。このほか、「半分以上を貯蓄して、残りの一部を支出に使った」が9.3%、「半分程度を貯蓄して、半分程度を支出に使った」が6.3%などとなった。

子ども手当の使用状況(出典:東北大学Webサイト)

子ども手当の具体的な使い道については、「ほとんど使わないで子どもの将来のために貯蓄した」が最も多く32.4%。以下、「子どもの教育費(学費、習いごと、教材など)」が20.4%、「子どもの生活費(衣服、子ども用品、医療費など)」が13.0%と続くなど、全体の72.2%が"子どものため"に充当されたことが分かった。一方、「子どもに限定しない家庭の日常生活費」が10.4%、「借金やローンの返済に充当した」2.3%など、"子どものため"以外に使われた割合は27.8%となった。

子ども手当の具体的な使途(出典:東北大学Webサイト)

子ども手当により、世帯の経済状況は変わったかと聞いたところ、64.6%が「あまり変わらない」と回答。また、子育て負担が軽減されたかとの質問に対しても、66.2%が「あまり変わらない」と答えたほか、特に子どもの生育環境について、73.4%が「子ども手当の前と実質的にあまり変わらない」と回答した。これらのことから、多くの世帯で子ども手当が子育て支援、充実につながったと実感して受け止められていないことが判明した。

今後の子育て支援政策について、3月で子ども手当が打ち切られ、従来の児童手当に変更になることをどう思うかと尋ねると、53.0%が「子ども手当を満額(1人あたり月額2万6,000円)支給で継続してほしい」、23.6%が「子ども手当を現状(1人あたり月額1万3,000円)支給で継続してほしい」と回答。

また、子育て支援政策についてどの面を充実してほしいか複数回答形式で聞くと、「子ども手当などの金銭的給付の充実」が55.1%となったほか、「扶養控除や(子どもの)医療費控除などの税制上の支援策の充実」が62.0%、「女性が仕事と子育てを両立できるようなシステムの整備」が27.1%、「子育て施設の充実」が22.7%など、個別的・環境整備的な側面を求める声が多くみられた。

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