日本ヒューレット・パッカードは9日、27インチワイドIPSディスプレイ採用の液晶一体型ワークステーション「HP Z1 Workstation」(以下、Z1)と、タワー型ワークステーションの新モデル「HP Z420 Workstation」(以下、Z420)、「HP Z620 Workstation」(以下、Z620)、「HP Z820 Workstation」(以下、Z820)を発表した。タワー型ワークステーションの新モデルは4月23日から、「Z1」は4月26日から販売を開始する。価格は「Z1」のスタンダードモデルが252,000円。「Z420」が141,750円から、「Z620」が160,650円から、「Z820」が210,000円から。

「HP Z1 Workstation」

「Z1」は、27インチワイドのIPS液晶を搭載した、液晶一体型のオールインワンワークステーション。液晶部を持ち上げ、筐体を開けることができ、ツールなどを必要とせずにPC内部にアクセス可能だ。内部はこれまで同社が提供してきたワークステーション「Zシリーズ」と同様に、各パーツをモジュール化しており、メモリやストレージの交換、増設も容易に行える仕組みとなっている。

「HP Z1 Workstation」

ディスプレイ部を持ち上げて内部をみたところ

日本ヒューレット・パッカード パーソナルシステムズ事業統括 ソリューション製品本部 本部長 小島順氏

「Z1は日本のオフィス環境にインスパイアされた製品」と日本ヒューレット・パッカード パーソナルシステムズ事業統括 ソリューション製品本部 本部長 小島順氏は話す。

「開発担当者に日本へ来て、日本のエンジニアが仕事をするオフィスを見てもらい、スペースを有効活用する手立てがあるのではないかと開発がスタートした」と小島氏。

日本ヒューレット・パッカードが想定する主なユーザーは、CADなど設計を行うエンジニアやグラフィックアーティスト、製品のデザインを重要視するデザイン関連のスクール、高い作業効率を求めるエグゼクティブやパワーユーザーだという。

「Z1」の想定ユーザー

日本ヒューレット・パッカード 取締役 副社長執行役員 パーソナルシステムズ事業統括 岡隆史氏は、「日本では、ワークステーションは、エンジニアなど一部の人が使う製品だと見られがちだが、海外ではエグゼクティブをはじめ、作業効率を求める人はハイエンドの製品を使うケースは多い」という。

日本ヒューレット・パッカード 取締役 副社長執行役員 パーソナルシステムズ事業統括 岡隆史氏

さらに岡氏は、日本でもエンジニアを始めとして、デザイナーやアニメーターなどさまざまな分野のユーザーがワークステーションを利用していることに触れ、「ワークステーションを使うことで作業効率を上げて、作業中にアイデアを途切れさせないというメリットを提供したい」と話す。

主な仕様は、スタンダードモデルの場合、CPUはIntel Xeon E3-1245(3.3GHz)、チップセットがIntel C206 、メモリがDDR3-1333 ECC 8GB(4GB×2)、ストレージが1TB SATA HDD、グラフィックスがNVIDIA Quadro 1000M、光学ドライブがスーパーマルチドライブ。OSはWindows 7 Professional(64bit版)。本体サイズはW660.4×D419.1×H584.2mm。重量は約21.32kg(最大構成時)。

ハイエンドモデルの場合は、CPUにIntel Xeon E3-1280(3.5GHz)を採用。メモリを16GB(8GB×2)、ストレージに300GB SATA SSDを2基、グラフィックスがNVIDIA Quadro 4000M、光学ドライブにブルーレイディスクドライブを搭載する。

岡氏は「日本発で世界の標準になった製品はいくつかあるが、この製品もその流れの1つになるような製品」と「Z1」への期待を語った。

小島氏による分解のデモンストレーション。ツールレスで取り外しが可能

2.5インチのストレージを利用すると2基の取り付けることができる

タワー型ワークステーションも新モデル

タワー型ワークステーションに関しても新モデル「Z420」「Z620」「Z820」の3製品を発表。3製品ともにSandy Bridge世代のXeonプロセッサを搭載。水冷ユニットもヒートプレートとラジエーターを一体化した第3世代に刷新した。

タワー型ワークステーション新モデル

第3世代の水冷ユニットを採用する

「Z420」はシングルプロセッサー仕様のワークステーションのエントリーモデル。新モデルでは、8コアCPUが搭載可能となったほか、最大メモリ搭載容量が24GBから64Gに、また、GPUコンピューティングにNVIDIA Tesla C2075を選択可能となった。最小構成では、CPUにIntel Xeon E5-1603(2.80GHz)、メモリ2GB(2GB×1)、ストレージに500GB SATA HDD、グラフィックレス、OSなしで価格は141,750円から。

「Z620」は、「Z420」と同じくシングルプロセッサー仕様のワークステーションだが、新シャーシにより、ライザーカードを使用することで、デュアルプロセッサー環境も選択可能な拡張性の高いモデル。最小構成では、CPUにIntel Xeon E5-1603(2.80GHz)、メモリ2GB(2GB×1)、ストレージに500GB SATA HDD、グラフィックレス、OSなしで価格は160,650円から。

「Z820」は、デュアルプロセッサー仕様や最大512GBのメモリ構成が選択可能なハイエンドモデル。従来モデルからに続いて、ツールレス設計を採用するほか、従来モデルと比較して、メモリスロットが増え、メモリ搭載容量が増加した。最小構成では、CPUにIntel Xeon E5-2609(2.40GHz)、メモリ4GB(2GB×2)、ストレージに500GB SATA HDD、グラフィックレス、OSなしで価格は210,000円から。

休日のオンサイト修理を行うサポートを開始

また、新製品の発表に合わせて同社の法人向けのデスクトップPCやノートPCを対象に、土日や祝日といった休日でもオンサイト修理を行う「HP Care Pack休日修理サービス」の提供も発表された。提供開始は5月10日から。標準オンサイト保証、もしくはオンサイト保証へアップグレードした状態から年間1,260円で、365日オンサイト修理が可能となるという。

「今年も去年と同様に節電で、稼働日をずらす企業が増えるだろう。休日も何か製品に製品があったときにすぐにオンサイトで修理する体制が必要になる。日本の事情を踏まえて、日本独自で夏に向けて用意をした」と岡氏はサポート体制強化の背景を説明した。

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