iStockphotoは、ストックフォト初心者のためのセミナー「写真が仕事になる! プロに学ぶ、ストックフォトのノウハウ」を都内にて開催した。
このセミナーは全2回で構成されたセミナーの第2回目。第1回のセミナーではストックフォトの概要説明や、売れ筋作品の紹介などが行なわれた
セミナーの各受講者は1回目のセミナーで出された「エコロジー」を題材にした作品を制作し、第2回のセミナーに参加した。
セミナーでは、講師の松岡純平氏が受講者の作品を一点ずつ取り上げ、アドバイスをした。松岡氏は「一般的な写真セミナーでは、みんなが撮ってきた写真を褒め合う場合が多い。しかし、今回はストックフォトで売り上げを伸ばすためのセミナーなので、僕は少々厳しいことを言います」と説明した。
文字ではなくて画像で表現する
ある受講者の作品内に「SAVE」という文字が写っていた。これを見た松岡氏は、「文字ではなく絵で表現したほうがよい」と語った。文字で作品を説明するのは簡単だが、これを別の被写体や構図で表現するにはどうしたらよいか? これを考えるのがストックフォトグラファーの仕事だと松岡氏は語る。
また、デザイナーが後から文字を入れることができるので、ストックフォトに文字を入れ必然性はない。ストックフォトでは、ある程度はデザイナーがデザインをする隙を作っておくことも重要だと言う。例えば、SAVEの文字が書いてない状態の作品ならば、違う文字を入れたい購入者も現われる可能性も高い。
柄モノを撮影するときの注意
別の受講生が撮った作品に、ペイズリー柄の布が写っていた。松岡氏によると「柄モノ」は著作権が発生する場合が多いので、撮影するときは十分に下調べを行なう必要があると言う。布ではなく、トランプなどカードの裏の柄でも同様とのこと。
撮影場所や背景に気を遣うべし
「道路に捨ててあるペットボトル」を撮影した作品を見て松岡氏は、「道路で撮る意味はあったのか?」と制作者に質問をした。写真に写る背景も作品の一部なので、撮影場所は意味のある場所を選ぶべきだと言う。また、なぜか日本人は白い背景で写真を撮影する人が多いが、「背景を暗くすることで、より良く見える場合もある。世界的に見れば暗めの写真もニーズがある」とアドバイスをした。
「Photoshop」を使えるならばレタッチで攻めろ
iStockphotoでは「Photoshop」などでレタッチし過ぎた写真は審査に通らない場合もあるが、意味のあるレタッチならば構わないとのこと。もしもそれなりのスキルがあるなら、まったく異なる複数枚の写真を合成して、ひとつの作品に仕上げるという方法もある。ある受講生の作品について松岡氏は、「このままではメッセージが伝わりにくいが、レタッチで表現を変えればおもしろい作品になるかもしれない。『Photoshop』の使い方を勉強するのも、ストックフォトで売り上げを伸ばす際に役立つ」と解説した。
すべての受講生の作品を品評した後に松岡氏は、「ストックフォトで売れている作品は、ヒマそうな制作者が作った作品だ」と語った。この言葉の意味は、「普通の人は実行しないような手間がかかる作業を、わざわざ行なっている人の作品は売れる」ということ。
松岡氏は「僕の知り合いが渋谷と秋葉原の写真を撮影したのですが、仕上がった作品を見たら、写っているすべての看板が消えていて、代わりに彼の写真が貼ってあった。普通はあれだけ大量の看板は消したくない。でも彼はやってしまったので、売れているわけです」と、売れている写真の一例を紹介した。ストックフォトから写真を購入する人たちは、大部分がプロのデザイナー。ただ撮影するだけではなく、しっかりと手間をかけなければ、プロが必要とする作品ならないのだ。
後編では、セミナーで紹介された写真をストックフォトで売るためのテクニックを、さらに詳しくレポートする予定だ。