NTTドコモは3月30日、繰り返し発生した通信障害への対策についての報告書を総務省に提出したと発表した。発表によれば、ドコモでは発生した通信障害への対策の16項目を完了させ、再発防止に向けた更なる対策を17項目を実施するとしている。
ドコモが公表した対策は、同社Webサイトで確認できる。ドコモが総務省から受けた指導および指示は、以下の2点。
- 当社の一連の事故に対する「行政指導」(平成24年1月26日)
- 携帯電話通信障害対策連絡会で全事業者に対する「設備及び体制の総点検指示」(平成24年2月22日)
これら一連の通信障害に対応するため、ドコモでは社長を本部長とする「ネットワーク基盤高度化対策本部」を発足して再発防止策等を検討し、「高度化推進室」「人為故障"0"化対策PT」の設置、IP系技術者の増強等を行い、監視・措置体制の強化と工事の無事故化に継続的に取り組んできたという。
発生した通信障害への対策16項目
発生した通信障害は、次の5件。Xi・FOMA・mova等で音声・パケットが利用しづらい(平成23年6月6日)、spモードのパケット通信が利用しづらい(平成23年8月16日)、spモードメールで一部利用者のメールアドレスが別の利用者のメールアドレスに置き換わる(平成23年12月20日)、spモードメールの送受信がしづらい、不達メッセージが返送できない(平成24年1月1日)、FOMAの音声・パケットが利用しづらい(平成24年1月25日)。
これに対し、次の16項目の対策を施した。サービス制御装置で輻輳が発生しないためのソフトウェアの改修、サービス制御装置の予備設備への切替判断処理の見直し、サービス制御装置のシステム切り戻し時の不具合修正、運用対処の最適化(迅速な規制の発動)、ネットワーク認証サーバのバッファサイズの縮小、ネットワーク認証サーバの設備増強、ネットワーク認証サーバ・セッション管理サーバの設備増強、ネットワーク認証サーバの更なる処理能力向上、ユーザ管理サーバの内部処理見直し、障害伝送路から重要通信の経路変更、spモードシステムへの信号量のコントロール、信号処理手順の見直しによる負荷の軽減、ネットワーク認証サーバのバッファサイズの拡大、メール情報サーバの内部処理見直し、パケット交換機の処理能力の総点検、信号量を把握した上での新型パケット交換機への切替だ。
再発防止に向けた更なる対策17項目
また、再発防止に向けてネットワーク基盤の高度化、工事の無事故化を図るため、処理能工事手順の見直しなど次の17項目の対策を実施している。
処理能力総点検結果を踏まえたパケット交換機の設備増設、新型パケット交換機の更なる処理能力向上、新規に開発したメール情報サーバの導入、スマートフォンの増加に対応するソフトウェアの改善・ネットワーク機器の増設、接続ルートが故障した場合の処理変更、サービス制御装置が予備機に切り替わった場合の処理変更、1回の無線接続で複数のアプリケーションが通信できるように無線接続手順を変更、spモード接続手順の変更(IPアドレスの不一致が発生しない接続手順への変更)、mopera接続手順の変更(IPアドレスの不一致が発生しない接続手順への変更)、方式検討においてユーザ識別情報の不一致防止のためのチェック観点を追加、開発ドキュメントの整備と試験の強化、ヒヤリ・ハット事例の収集・水平展開と工事手順への反映、工事によるお客様影響度の把握及び社内における工事情報の共有化、工事に必要なドキュメントを常に最新化する業務フローであることを確認、最新のドキュメントに基づいて工事手順を決定する業務フローであることを確認、工事中の不測の事態に備えた回復手順等の事前確認、ユーザーへの影響を最小化するための工事内容に応じた実施時間帯のルール化だ。
これらの対応に加え同社では、通信ネットワーク設備等に対して、全145項目、256,966件におよぶ総点検を実施したとしている。
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