シャープは27日、台湾の鴻海グループと資本提携・業務提携を行うことを発表した。
提携の骨格は、大阪・堺にある液晶パネルおよびモジュールの工場(堺工場)を、鴻海と共同で運営すること。これに伴い、堺工場の操業に関連してソニーと設立した合弁会社・シャープディスプレイプロダクト(SDP)の株式46.48%を、鴻海に譲渡する。譲渡価額は660億円。これによりSDPに対する出資比率は、シャープが46.48%、鴻海が46.48%、ソニーが7.04%となる。なお、シャープ広報室によると、鴻海への株式譲渡後も、SDPはシャープグループの連結対象から外れない。
SDPへの出資により鴻海は、将来的に堺工場の生産量の半分を引き受けることとなっている。
資本提携としては、鴻海グループを割り当て先としたシャープ株式121,649,000株の第三者割当増資も行われる予定。割当増資後の鴻海グループの出資比率は、鴻海精密工業が4.06%、鴻準精密工業が0.65%、FOXCONNが2.53%、Q-Run Holdingsが2.64%となる。
27日に開催された会見に出席したシャープ常務執行役員の奥田隆司氏は、今回の提携に関して、「世界で戦う仕組み作り」と述べ、「提携により、1+1=2ではなく、1+1=5くらいになる」と今回の提携の意義を強調した。
さらに、奥田氏は「シャープには"オンリーワン"の商品を開発する技術力はあるが、円高や競争激化により、その強みを発揮できなくなっている」とした上で、「(堺工場を安定操業にもっていくことで)スケールメリットが生じる」とコスト低下による価格競争力が生まれることを説明した。
また、奥田氏は「今まで採ってきた、開発から生産、販売までを一貫して行う垂直統合方式に限界が出てきた」と、同社の強みであった1社単独での垂直統合方式に関してコメント。「今後は2社協業による垂直統合を目指す」と述べている。