3月24日に公開されるオール広島ロケの映画『サルベージ・マイス』で、ヒロインを務めた現役女子高生の長野じゅりあと共演者の長田成哉に話を聞いた。
同作は、広島城、原爆ドーム、そして広島名物の路面電車まで、広島の名所10カ所以上で撮影が行われた広島発のアクション・エンターテインメント。不当に奪われた美術品を持ち主へ返す目的のために窃盗を繰り返すサルベージ・マイス(谷村)が、広島をこよなく愛する自衛団「広島クリーンズ」の団長・美緒(長野)と出会ったことから巻き起こる騒動を描く。
いきなりのヒロイン抜擢にびっくり
約600人が参加したオーディションを勝ち抜いて、見事ヒロインに選ばれた長野。映画初出演となったが「アクションをやりたいと思っただけで、映るのも一瞬だと思っていたら、台本にはたくさんセリフがあるし、ヒロインということにびっくりしました」と予想外の抜てきに驚き。初体験の演技を「空手はやっているから平気だったけれど、思っていた以上に難しかったです」と振り返る。劇中では凛々(りり)しい表情を見せている長野だが、共演者の長田は「シリアスなシーンでは、わかりやすいくらい足がプルプルと震えていた」と証言。それでも「彼女のように初演技で大役いう状況なら、普通だったら緊張からせりふがフリーズしてしまうはず。でもセリフもちゃんと言えていたし、アクションをしながらの芝居もできていた」と女優としての素質を認める。
なかなかつかめなかった"ヘタレ"役にみずから肉付け
長野が正義感あふれる空手少女を演じる一方、長田は「広島クリーンズ」のメンバーで平和主義者の竹丸役。一言で表すならば"へたれキャラ"だ。消極的過ぎる性格の役柄を理解するのに悩んだそうで「ギャングにタックルするシーンを追加してもらったんです。その後2発くらい殴られて行動不能になるんですけど、竹丸が行動を起こしたというシーンが生まれたおかげで、役柄をつかむことができた」と自らキャラクターに肉付けした。
長野がキレのある空手の形を繰り出す姿を間近に見て、フラストレーションがたまったという長田の特技はヌンチャクだ。もし長野とタイマンを張るなら「ハイキックを封じるために、まずはヌンチャクで脛を壊す」と姑息(こそく)な作戦を明かす。一方の長野は「私はキックより、走りながらのパンチが得意なので顔面を殴ります。ウフ!」とうれしそう。
空手の長野とヌンチャクの長田、勝敗は?
祖父の影響で、長野が5歳から習い始めた空手。現在は糸東流空手道初段の腕前だ。劇中で見せるアクションや型も決まっている。ヌンチャクの使い手である長田も「それまではフニャフニャ~としゃべっていたのに、いざ空手の型となると『北斗の拳』のケンシロウみたいな顔に。ある意味トランス状態ですよね」と舌を巻く。そのリアクションは、長野のクラスメートたちも同様で「学校ではヘラヘラしているとよく言われるので、映画の予告編を見た友達は全員固まっていました。『何これ?』『こんなに突き出んの?』『強そう』とか言われて恥ずかしい~」と笑う。自身も初めて完成版を見たときは「『(自分が)なんかしゃべってるんだけど~、めっちゃ真剣なんだけど~』とか思って(笑)」冷静に鑑賞できなかったそうだが「頑張りました。ウフ!」とやり切った思いはあるようだ。
「空手をやっていなかったら、引っ込み思案で人と話さない子になっていたと思う」と空手の魅力を語る長野の夢は「インターハイでの優勝。そして空手も強くて、アクションも演技もできるスターになりたい」と目を輝かせる。海外活動も視野に入れているかのような言い回しだが「ハリウッド?ハリウッドって、ニューヨークとかと一緒で地名なんですか? すいません。ちょっとわからないです……」と天然の素顔をのぞかせる。長田は「お客さんが共感してくれて、作品を見てよかった、お金を払ってよかったと思われるような役者になりたい」と力を込めるも「長野さんは強いし、芝居もできる……。僕の居場所がなくなる!」と長野をライバル視。にらまれた長野は「ウフ!」と無邪気に笑っていた。
映画『サルベージ・マイス』は3月24日より新宿バルト9ほかにて全国公開
PROFILE
ながの・じゅりあ
1996年2月10日生まれ、15歳。広島県出身。現在は東京で活動する現役女子高生。5歳から空手を始め、空手歴10年の経歴を持つ。糸東流空手道 初段。趣味は筋肉トレーニング。好きな学科は体育。中学時代は、ソフトボール部に所属していた。本作品のオーディションで600人の中から大抜擢され、堂々のスクリーンデビューを飾る。プロデューサー兼アクション監督の西冬彦も長野じゅりあの本物の空手技に驚き、5カ月間の徹底的なアクション稽古を施した。現在の夢は空手の全日本チャンピオンになること、そして世界一のアクションスターになること。本作では、アクションに初挑戦した主演の谷村美月とお互い支え合いながら、演技面でもそのフレッシュな魅力を発揮している
おさだ・せいや
1989年8月16日生まれ、21歳。兵庫県出身。Muvie!!オーディションで1万人の応募者の中から、グランプリに選ばれる。'09年に、『ハンサム★スーツ』(フジテレビ系)で俳優デビューを果たし、その後も、『ホームレス中学生2』('09)、CX『東京DOGS』('09)、TBS『ヤンキー君とメガネちゃん』('10)と多くのドラマに出演し、一歩一歩キャリアを積み上げる。'10年には、NHKの国民的ドラマとなった連続テレビ小説『てっぱん』で、実業団の駅伝選手・滝沢薫役で飛躍的人気を獲得する。特技は、歌、ダンス、バスケットボール、ヌンチャク。最近の出演作品としては『君が踊る、夏』('10)、『七瀬ふたたび THE MOVIE』('10)、CX終戦記念特番「最後の絆 沖縄 引き裂かれた兄弟~鉄血勤皇隊と日系アメリカ兵の真実~」(11)などがある
撮影:保坂洋也
関連記事 |
ももいろクローバーZ、谷村美月主演『サルベージ・マイス』の主題歌に決定(2011/09/15) |
ももクロZの新曲「BIONIC CHERRY」がついに解禁 (2011/10/05) |