「鉄道好き」という共通の趣味を持つ2人の若者が恋や仕事に奮闘する姿をユーモアたっぷりに描いた、松山ケンイチ・瑛太主演のコメディー映画『僕達急行 A列車で行こう』。

本作のヒロイン的存在で、恋愛に積極的な美人OL・相馬あずさを演じる貫地谷しほりに、撮影の裏話や昨年末に亡くなった森田芳光監督について伺った。

――完成した映画をご覧になっていかがでしたか?

貫地谷しほり

「監督の独特で個性的な笑いが随所にちりばめられていて、自分が出ているのにクスクス笑ってしまいました。自分のシーンだと、バーで松山さん演じる小町と話すところでメガネを何度もかけかえるのですが、そこに入っている効果音に思わず笑ってしまいました。あとは松坂慶子さんと村川絵梨さんの掛け合いがツボでしたね」

――他に印象的なシーンなどはありますか?

「わたしは電車に興味がなかったんですよ。でも見ているうちに面白くなってきて、特に男性陣がNゲージを皆で眺めているシーンは良かったですね。大人が本気で遊んでいる感じで」

――演じられた相馬あずさは恋愛に積極的で、少し変わった女性ですよね。ファッションもレトロですし

「そうなんです。衣装合わせのときに監督がいらっしゃる前にスタッフさんと話していて、オレンジのスーツを見つけて『これはないですよね』と言っていたのですが、それを監督が1番気に入ったみたいで(笑)。ファッションもそうですが、あずさのセリフは一つひとつが個性的で面白くて、脚本を読んだときは変わった女の子だなと思いました」

――ユニークなキャラクターですが、共感する部分などはありますか?

劇中ではプライドが高く結婚願望も強い美人OL・相馬あずさを演じる

「ありますね。あずさはすごくハッキリしていて、恋愛でも脈がないと思ったらすぐ次にいく女の子。私も同じで、例えばお芝居をしていてこれはないなと思ったらすぐに切り捨てて次のパターンを試すんです」

――森田監督からはどんな演技指導を?

「森田監督は私がやること全部に対して、それは違うというんです。特に苦労したのは最初に撮ったバーのシーン。まったくわからない状態で入ったんですが、あそこで自分が出せるものをすべて出したつもりだったのに監督に違うと言われてしまって。で、そこで力が抜けたおかげか、力まずにやったらOKが出ました」

――監督には「こう撮りたい」というビジョンがあったんでしょうね

「そうですね。それで、よくわからないまま最終日までふわふわ動かされていたという感じです。でも実際に映画を見てみると、演技指導で監督がおっしゃっていたことがどういうことかわかったんですよ。ここで一歩止まってそれから動いてと言われたのには、ここの"間"が欲しかったからなんだ、とか」

――まさに森田演出ですね

「撮影で一つうれしかったことがあって、私があるシーンで『サンキュー』というセリフをアドリブで入れたんです。森田監督はアドリブを一切許さないと公言している方なんですが、そのセリフについては監督も「今の面白いね」って言ってくださって、使ってもらえたのがうれしかったですね」

――森田監督はどんな方でしたか?

「ふわふわした方でしたね。いつもニコニコしていて、駅での撮影では農作業をするときのような日よけのついた帽子をかぶっていました。現場でも1番動いて力いっぱい指導してくださって、全部の役を1人でやってみせるんですよ。それが面白くて、すごくキュートでしたね」

――主演の松山ケンイチさん、瑛太さんについてはいかがでしょう

「松山さんと瑛太さんってすごく不思議な空気感を持っていて、まさに映画の小町と小玉みたいな感じなんですよ。撮影外でも隣に座って、ポツリポツリと会話を交わす感じ。そういう空気が映画にすごく出ていたんじゃないかと思いますね。私はけっこうしゃべるタイプなので、邪魔しちゃいけないと思って離れていました(笑)」

――今回は鉄道という趣味が大きなテーマになっていますが、貫地谷さんの趣味は?

「今はこれといった趣味はないんですよ。昔は少女漫画とかすごく好きで、理想に理想を重ねていました(笑)。あとは住宅系の本で間取りを見るのが好きでしたね。勝手に家具の配置を考えたりとか」

――これから始めたいことはありますか?

「うーん……理想をいえば、40代・50代になったときに習い事をしているお母さんになることですね。例えばお茶とか。ゆったりしている感じに憧れます。私自身はせかせかしているタイプなんですよ。電車にはあまり興味がなくて飛行機派なのも、パッと行って現地での時間をたくさん取りたいと思うからなんです。でも長距離を移動する新幹線で駅弁を食べるのは好きですよ」

鉄道が好きすぎて部屋に車内の雰囲気を再現してしまうシーンも

――小町と小玉のように趣味に夢中になりすぎる男性も多いと思いますが、女性から見ていかがですか?

「夢中になるのはいいと思うんですけど……主役の2人みたいにあそこまでハマってしまっていると、女の子としては「ちょっと、私ここにいるんだけど」って言いたくなるかもしれません(笑)。お互いの共通の趣味だといいんですけど、そうじゃないならもう少し周りを見てくれるとうれしいですよね」

――肝に銘じておきます(笑)。小町と小玉は同じ鉄道好きでもこだわるところがそれぞれ違っていますよね。貫地谷さんはそういったこだわりはありますか?

「私は細かいことにこだわるタイプですね。コレクションするのが好きなんですが、ブルーレイとか漫画とか、全部同じ大きさでそろえたいんです。特別バージョンとかで箱が大きくなったりするとダメなんですよ。並べたときにきれいな方が好きなので。逆になぜか服を片付けるのはすごく苦手で、帰ると服を脱いでそのままにしてしまいます。それで、「あれ、着る服がないぞ」ってなったら洗濯するという。その繰り返しですね(笑)」

――最後にこれからご覧になる方にメッセージをいただけますか

「出てくる人がみんな良い人で、すごくほっこりできて気持ちが温かくなれる映画です。人と人とのつながりを見直すいいきっかけになるんじゃないかと思いますので、ぜひ見てください」

『僕達急行 A列車で行こう』は3月24日より全国公開。

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(C)2012 『僕達急行』製作委員会

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