PCメーカー各社の2012年春モデルも出揃ったところ。どのメーカーもさまざまなラインナップ取り揃えているが、注目度が高いのはやはりUltrabook。ノートPCのモバイルユースが当たり前になっている現在、薄型、軽量、長時間駆動を実現するUltrabookに期待をよせるユーザーは多いだろう。IntelもUltrabookを「既存のノートPCを置き換える」として、力を入れて取り組んでいる。
たんに薄いというだけではないUltrabook
Ultrabookとは、2011年のCOMPUTEX TAIPEIにて、インテルが発表したノートPCの新カテゴリ。21mm未満の筐体の薄さ、長時間のバッテリ駆動、1,000ドル未満といった価格帯での販売を目指す製品だ。
薄さや軽さ、長時間駆動といった特徴だけではなく、既存のPCで培われてきた処理性能、高いセキュリティ、汎用性の高さを実現するとしている。先ごろ、日本ヒューレット・パッカードの製品発表会に登場した、インテル 取締役副社長 宗像義恵氏は「Ultrabookは単にスペックだけではとらわれず、もっと大きい意味合いでの新しいカテゴリで、PCの良さを妥協せずに継承しているのが特徴。Intelとしては、Ultrabookは市場を活性化させる起爆剤」と話し、今後も継続的に注力することで、既存のメインストリームであるノートPCからの置き換えを狙っている。
日本HPはコンセプトの異なる2つのUltrabookをラインナップ
日本におけるUltrabookは現在、海外系メーカーを中心に製品が投入されている。そして2012年春モデルで特にUltrabookに注力していると思われるのが、日本ヒューレット・パッカードだ。同社は2012年春モデルとして、「HP Folio 13」「HP ENVY14 SPECTRE」のというコンセプトの異なる2つ製品を展開している。
「HP Folio 13」は、ディスプレイに13.3インチ液晶を搭載し、CPUにIntel Core i5-2467M(1.60GHz)、ストレージに128GB SSDを採用する。最厚部で20.3mmと薄型のボディながらバッテリ駆動時間は約9時間。通常のノートPCと比べてもまったく遜色のない性能を持つバランスのいい製品だ。しかしながら、価格は直販価格で79,800円からと高いコストパフォーマンスを実現している。
「HP ENVY14 SPECTRE」は、HPとIntelが共同で創出する「プレミアムUltrabook」の第1弾となる製品。既存のUltrabookにはない「プレミアム」な価値を持たせているのが特長となっている。14インチの液晶を搭載するほか、ボディに剛性のガラス素材を採用し、高級感を演出する。ハイエンドマシンらしく、世界的オーディオブランドの「Beats Audio」ステレオスピーカーを搭載するなど、基本的なスペック以外の点でもパフォーマンスが高い。
「プレミアムUltrabook」としては、今後も継続的に製品が発表される予定だという。
Ultrabookは、Intel、PCメーカーともに力を入れていくカテゴリであり、これからより一層の進化や市場の盛り上がりが期待できる製品だ。新しい製品として、成熟した既存のPCと比べて積極的に変化していく可能性もあり、今後も注目が高まっていくことは間違いない。