iStockphotoは、これからストックフォトを始めたい人や、ストックフォトで売り上げを伸ばしたい人に向けたセミナー「写真が仕事になる!プロに学ぶ、ストックフォトのノウハウ」を都内にて開催した。ストックフォトにおける写真の使われかたなどを紹介した前編に続き、セミナー後半の模様をお伝えしたい。
ストックフォトで売れる「6つ」のキーワード
セミナーでは、ストックフォト業界で「BIG SIX」と呼ばれている6つの売れ筋キーワードが、iStockphotoで売れている写真と共に紹介された。
その売れるキーワードとは、「ビジネス」、「ライフスタイル」、「スポーツ」、「自然」、「アイデア」、「旅行」の6個。例として紹介された売れている写真は、写真として美しいだけでなく、明確なコンセプトがある作品ばかり。セミナーの講師を務めたゲッティ イメージズ ジャパン 松岡純平氏(取材時)は、「人物の写真で、ただニコッと笑っているものが売れる時代は終わった」と語った。かつては笑顔の人物であればそこそこ売れていたようだが、いま笑顔の人物写真は飽和している。そのため、笑顔よりもメッセージ性の高い写真を登録したほうが売り上げを見込めるそうだ。
また、前記した6つの売れるキーワードに関して、松岡氏は「注意すべきポイント」として以下のような注意点を挙げた。このポイントを理解した上で販売用の作品を撮影すれば、より売れる可能性が高くなるはずだ。
●ビジネス
ただスーツを着ているだけでは絵にならない。コンセプトが重要。また、料理人や医者など、スーツ以外の仕事着も需要がある。
●ライフスタイル
生活の一部を切り取る。いま特に売り上げを伸ばしているのはシニア層を使った作品。
●スポーツ
スポーツ用品はロゴが大きいので注意。また、実際にスポーツをやっている人が見て違和感のないポーズにしなければならない。
●自然
自然と人物を融合させた写真は売れる。緑や青は、美しいと感じられる色。動物の写真に関しては、その動物が商品として成立している場合は許可が必要(動物園や水族館などで飼育されている動物やペットショップで販売されている動物)。
●アイデア
コンセプトを作るために考える。プレゼンテーション用の資料作成時に使われるような、抽象的な作品も売れる。
●旅行
旅に出かけるときにカメラを忘れずに。日本の地の利を活かし、日本でしか撮れない写真を海外に向けて販売する。ただし、ランドマークを撮影する場合は商用利用に関する許諾の必要性の有無などについて注意すること。
ストックフォトの撮影に必要な準備
ストックフォトについての考え方や売れ筋を紹介した後、松岡氏は「エコロジーや経済不安など、世の中の出来事はすべて写真になりうる。『特別なコンセプトで撮らなければならない」と考えすぎないことも重要」と語った。
「撮影するテーマを決めたら、まずはその被写体についてよく研究することが大切」だと松岡氏は語る。また、「浮かんだ写真のアイデアノートを作っておくと、ネタ帳として使える」とも語っていた。
このように準備をして実際に撮影を行なったら、松岡氏の場合、はすぐにPCに取り込んでチェックとラフ編集を行なうそうだ。撮影時の記憶が鮮明なうちに撮影した写真を見直すことで、カメラのセッティングの勉強にもなるし、もしNGカットがあった場合も、すぐに撮り直すことができる。松岡氏によると、「レタッチに5時間以上かかる写真は、撮り直したほうが早い」とのこと。
「アイデアを作るトレーニング」とは?
セミナーの後半では、受講者をいくつかのグループに分けて、ストックフォトのアイデアを練るためのトレーニングが行なわれた。各テーブルに用意された2種類の付箋紙に、「物」と「テーマ(形容詞)」をひたすら書いていく。それぞれのグループが何十枚もの付箋紙を書き終わったら、隣のグループと交換し、物とテーマが書かれた2種類の付箋紙をめくっていく。それをお題に、グループのメンバーたちで「どんな写真が売れるか?」を話し合って決めるというワークショップだ。例えば「ケーキ」と「かわいい」という付箋紙をめくった場合は、「ケーキを使ってかわいいを表現する写真」を考える。松岡氏は、「このトレーニング方法はひとりでもできる。起床してすぐにテーマを決めてから一日を過ごすと、いろいろなアイデアが浮かぶので実践してほしい」と語った。
なお、このセミナーの第2回目は2012年3月下旬に開催されるのだが、今回のセミナーの最後に、次回までの宿題が出された。それは、今回のセミナーで目にした道具(ペンや机、椅子、ノート、付箋紙、携帯電話など)を使って「エコ」をテーマにした作品を撮影してくるというもの。表現方法は写真、イラスト、コラージュなど自由。松岡氏は「1カ月使って、アイデアを絞ってエコをストックフォトで表現してきてください」と、第1回目のセミナーを締めくくった。