「プリウスPHVを借りられることになったので、ちょっと遠出してきませんか?」普段、自宅兼オフィスの自分の部屋にこもりがちな僕にとって、編集部からの申し出はものすごく魅力的に思えた。
「開発合宿」にピッタリの編集部からの申し出
僕は昨夏にPRエージェンシーを起業した。社員はまだふたり。そこでマンネリを防ぐため、「開発合宿」と称し月に一度クルマで2泊3日程度の旅に出ている。民宿などにパソコンを持ち込んで深夜まで仕事をするのだ。今回飛び込んできた「タダでクルマを貸す。そのかわりしっかりレポートしてほしい」という編集部からの申し出。僕はふたつ返事でOKした。
ちなみにプリウスPHVは「外部から充電可能なリチウムバッテリーを搭載し、蓄電した電力だけで走行できるEVと、ガソリンと電力を併用するハイブリッド車、双方で利用できるクルマです。PHVの“P”は、充電できる『プラグイン』を指し、“HV”は『ハイブリッド』を指します」と、編集部から説明を受けた。
さて、当然こんなに虫のいい申し出には何か裏があると読み、編集部に念を押すと「仕事も食事もできるだけ車内で行ってください。炊飯器を持ち込むくらいの徹底ぶりだといいですね~」との返事。そらきた。「弊社の完全ノマド化」という“無茶ぶり”企画ではないか。とはいえ、最新のプリウスPHVを長期間利用できるのは大きな魅力。結局、この魅力にはあらがえなかった。
資料作成もゆったり行える助手席スペース
いろいろ異議を申し立てたが、炊飯器の件も含めうまく丸め込まれた僕らは、開き直って思い切り遠出することにした。目的地は大阪。片道約500km、およそ10時間を要する長旅だ。目的地が近いとクルマの中での作業時間が短くなること、プラグインハイブリッド車は、どこでも給油できるガソリンを併用するハイブリッド車としても使えるので、走行距離を気にしなくて済むことを考慮した結果である。
無茶ぶり企画とはいえやると決めたらちゃんとやる。それが仕事というものだ。まず手始めに、助手席での簡単な資料作成作業から始めた。助手席のシートを後ろに引けば、体の前に十分なスペースが確保できる。座席からフロントガラスまでの距離が広くなるため、MacBook Proを膝の上においても問題なかった。シートの沈み具合もちょうどよく、首や背中を痛めることもない。まず2時間程度は、この姿勢のままで仕事できそうだ。
こうして、資料作成をスムーズに終わらせられるかにみえたが、思わぬワナが待ち受けていた。プリウスPHVの運転席と助手席は、ヒーターが仕込まれた快適温熱シートになっているのだが、これが心地よい! この3月は冷え込みが続き、この開発合宿中も冷たい雨に降られたのだが、体の内側からポカポカと温められるようなシートのおかげで快適。運転をしてくれている社員には悪いと思ったが、まずは眠ることにした。“ワナ”などと外的要因のように書いたが何のことはない。自分の意志の弱さで資料作成は遅々として進まなかったのである。