イー・アクセスは15日、高速通信方式LTEを採用したイー・モバイルブランドで提供する新サービス「EMOBILE LTE」の提供を開始した。同日、サービス開始を記念して東京・秋葉原のヨドバシカメラ マルチメディアAkiba、有楽町のビックカメラ有楽町店でセレモニーを開催した。
EMOBILE LTEは、通信方式としてFDD LTE方式を採用した高速通信サービス。下り最大75Mbps/上り最大25Mbpsを可能にした。通信方式としてはNTTドコモのLTEサービス「Xi(クロッシィ)」と同等で、上下の速度の最大値では現時点で国内最高速。ソフトバンクモバイルの「SoftBank 4G」はWCPのAXGP技術を使っているが、これはTD-LTEと100%互換とされており、千本倖生会長は、「TDと比べて世界標準で、世界で一番ポピュラー」と優位性をアピール。エリア、速度、料金の3点で競合に対して有利であると主張している。
対応端末としては、人気の「Pocket WiFi」ブランドから「Pocket WiFi LTE GL01P」「同 GL02P」のポータブル無線LANルーターを発売。連続待受時間はそれぞれ200時間、350時間、連続通信時間はともに9時間と、長寿命な点も特徴だ。
現行の同社主力の「EMOBILE G4」は全国の人口カバー率93%で、どちらの端末もLTEエリアだけでなくG4エリアでも利用できる。月額利用料金は、2年契約を前提として3,880円の定額制で、24時間300万パケット以上の利用で深夜帯の通信制限を行う場合があるが、他社のように1カ月数GBの利用で極端な速度制限は当面行わない。2014年5月以降は、1カ月10GBで同月内の通信速度を制限する意向だ。
EMOBILE LTEでは、3月末で全国の人口カバー率は40%だが、6月までに東名阪地域の人口カバー率99%を目指し、利用エリアを早期に拡大していきたい考え。従来のネットワーク構築の中では「最も速いペース」(ガン社長)でのエリア展開だという。EMOBILE LTEの場合、通信速度は、東京ではお台場エリアを始め、3G利用者の少ない地方を中心に75Mbpsのエリア化を進め、LTE利用者の増加に応じて順次エリアを拡大する。都心部を含めて、それ以外の多くの場所では下り最大37.5Mbps/上り最大12.5Mbpsとなる。
千本会長は、既存の3G基地局にLTE基地局を「オーバーレイ」させる形で構築するのは「世界で初めて」と先進性をアピール。また、バックボーンをオールIP化することで全体の速度も向上させた、としている。
ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaでは予約だけで1,000を超え、ビックカメラ有楽町店でも400以上の予約があったという。既存顧客向けに、2年契約の途中で機種変更する場合の解除料相当の最大1万円を割り引くサービスも提供しており、両店では端末代が1円であることから、客の反応もいいようだった。ただし、予約分の契約処理に時間がかかり、当日販売分の受け渡しが開店当初でも3時間かかる、とのことだった。
同社では、今後3年間で1,000億円をかけて設備投資をしていくほか、2012年度中には対応スマートフォンも発売し、サービスの拡大に注力していく。
千本会長は、新規割り当てのあった900MHz帯の周波数帯をソフトバンクが取得したことについて「残念だった」としつつ、次に予定されている700MHz帯が最大3社に割り当てられることについて期待を述べる。国内3キャリアが700MHz帯を取得すれば、それに対応した端末の調達で有利になるとの認識で、700MHz帯の割り当てを求めていく考えを示している。
(記事提供: AndroWire編集部)