ワコムのペンタブレット新製品「Intuos5」が16日に発売となる。そこで、同製品の試用を1カ月ほど行ってきたクリエイターに、その使い心地や今後リリースされる製品への要望などを聞いてみた。本レポートでは、クリエイター達の率直な感想を、3回に分けてお伝えする。

Intuos5(インテュオスファイブ)は、Intuos4から搭載された2,048レベルの筆圧機能や、最小で1gの筆圧荷重を感知する高い認識機能を継承しつつ、新UI技術「ヘッドアップディスプレイ」の採用、ワイヤレス接続への対応、マルチタッチ対応モデルの追加、そしてタブレット本体や付属ペンにソフトなラバー素材を採用するといった改良が加えられた、プロフェッショナル向けのペンタブレットだ。

「Intuos5」シリーズ

山下良平氏(イラストレーター) 「紙と絵の具に近づいている気がします」

山下良平氏。雑誌や広告等のビジュアル作成を手掛けるイラストレーター。アートブランド「LIKE A ROLLING STONE」を立ち上げ絵画作品の発表、販売も行う

Intuosシリーズは10年前から使っていて、今まで使っていたのがIntuos3です。ペンタブレットでは描き味を重要視していますが、Intuos5は程よい抵抗感があって良いですね。普段から創作活動において紙と絵の具も使っており、その描き味に近づいている気がします。次のバージョンアップでは、筆ペンが欲しいです。現状のフェルトはソリットな感じですけれど、柔らかくて"しなり"のあるペン先があると良いですね。

まだ使い込んでいないので、マルチタッチ機能に関しては実感が無いのですが、拡大や縮小、回転なんかを早く使いこなせるようになりたいです。今までキーボードと併用していたので、無意識に左腕がキーボードが置いてある場所に動くんですよ。

 

吉井宏氏(イラストレーター) 「Magic Trackpadの操作をIntuos5でも」

吉井宏氏。NTTドコモの「ひつじのしつじくん」や、アニメ『ヤンス! ガンス![MEAT OR DIE]』のキャラクターデザイン等を手掛けるイラストレーター・キャラクターデザイナー

Intuosシリーズは初代から使っており、新製品が出るたびに買っています。また、BAMBOOのマルチタッチ機能も気に入って大小2台を買っていたので、Intuosにもマルチタッチ機能が搭載されたらいいな、と思っていました。

今までペンタブレットを使っている時も、ポインティングデバイスとしてマウスやトラックパッドを併用してたんですが、Intuos5ではそれらが必要なくなりましたね。仕事に必要なデバイスがキーボードとペンタブレットだけになったので、机の上が凄くすっきりしました。Macintoshで使っているので、Magic Trackpadでやっていた操作をIntuos5でも使えるように設定してます。

ワイヤレスは前から欲しかった機能だったんです。消費電力が大きいので難しいと言われていたんですが、それがようやく実現して良かったです。デスクトップPCと使用する際は、バッテリーの減りが気になるのでケーブルを繋ぎっぱなしですが、ノートパソコンと使用する時は完全にワイヤレスですね。

川上俊氏(アートディレクター) 「プロダクトデザインが良くなりましたね」

川上俊氏。「ユニクロ」や「ISSEI MIYAKE」のブランディングなどを手掛けるアートディレクターであり、ブランドデザインを中心に広告、グラフィック、ウェブ、映像などを手掛けるartless Inc.の代表

普段はアートディレクターの仕事をしているので、ペンタブレットはそんなに使わないのですが、作家としてグラフィックコラージュを制作する際に使っています。最終のディテールの詰めを行う際に、性能が上がって細かな消し作業もできるのが嬉しいですね。

見た目では、プロダクトデザインがかなりアップデートされたのも良いと思います。滑り止めっぽくラバーが使われていたり、障り心地も良くなっています。ペン入力をしない作業の方が多いので、これまでは大きなトラックパッドとして使っていましたが、描き味が鉛筆に近くなっているのが面白くて、最近はよく使うようになりました。私としては、マルチタッチ機能の性能を上げて、指での操作に対する反応をもっと良くして欲しいですね。


大和田良氏(フォトグラファー) 「マルチタッチ機能は、暗室での作業を思い出します」

大和田良氏。雑誌や広告媒体などに作品を提供しつつ、スイス・エリゼ美術館の「明日の有望写真家50人」に選出されるなど国内外で活躍するフォトグラファー

今までIntuos3を使っていましたが、Intuos5を使ってみて、何より使いやすいと感じたのがマルチタッチ機能でした。ペンのタッチも変わっているところがあり、より細かく直感的な作業が行えるようになりました。