ある日、外国製の高級オイルパステルでも入っていそうな趣きのある木箱が編集部から届いた。中身はiPhone用のケース(バンパーとスキンのセット)。アルミと天然木を組み合わせて使うKODAWARIのiPhoneケース『Alloy×Wood Bumper 5001 - Silver×Teak』(直販価格12,800円)である。このケースの装着感について早速お届けしよう。
こだわりある素材の美しさ
バンパー本体は、航空機材料に用いられる高品質のアルミニウム製。ほぼ手作業による削り出しでなくてはできない、シャープで繊細なフォルムだ。
パーツは2つにわかれているが、装着すると合わせ目がほとんど見えないほどの精度だ。また、エッジやボタン周りの穴周辺は、微妙な曲面とテーパーの組み合わせにより、どの角度からも美しいハイライトと表情豊かなグラデーションを見せる。熱伝導率の高いアルミはすぐに体温に馴染むので、冷たさによる不快感はなく、むしろ指先に触れるシャープなエッジが心地よい。
セットのスキンは、温かみのある木目地。木目"調"ではなく、ホンモノの木材をシート状にしたものだ。表面は木目の凹凸をわずかに残した仕上げで、指先で触れると木の質感が感じられる。天然素材だけあって、徐々に手に馴染んでくるのもいい感じだ。バンパーのアルミに対して木目という、まるで対局の組み合わせに最初は驚いたが、見慣れるとそのコントラストが美しい。
本来のデザインを活かす美しさ
筆者はモバイル系のモノにオプションやアクセサリをあまり使わない性分である。以前使っていたiPhone 3GSも当初は本体むき出しだったが、何度か落下させるうちにボディの裏面が小さくカケてしまった。この程度なら実用に支障はないと思っていたら、しばらくしてイヤホンの音が時々途切れるようになった。
カケたのはイヤホンジャックのすぐ近く。落下の衝撃による接触不良の可能性が高い。その後、これ以上の破損を防ぐために、不本意ながら装飾的要素のないクリアなポリカーボ製カバーを装着することにしたわけだが、まあ、転んだ後の杖である。
そんなわけで、4Sではショップで安く付けてくれたシンプルなシリコンケースを購入直後に装着した。しかし、今考えればそれは安直に過ぎた判断と言わざるを得ない。
そもそも、なぜアクセサリを使わないのかというと、オプションやアクセサリのない状態こそが、メーカーが世に出した製品本来の姿であり、作り手の思想や技術はそこに結晶している(はず)と思うからだ。
そう思う一方で、この製品を装着してみて面白いのは装着しても4S本来のプロポーションをほとんど損なうことがないことだった。さらには、iPhoneがあえて排除した(と思う)リアルな物質の感触をまとうことで、むき出しのiPhoneとはまた違った魅力を見せてくれる。言葉通り"取って付けた"カバーでなく、別モノの良さを消化して組み合わせた、コラボレーションの美しさだ。
スキンの商品ページで配布中の背景用画像を使ってみた |
使って気づく、高級ケースの意味
iPhoneユーザーの知人たちは(日頃は他人のケースなど気しないのに)、これを目にするとまず驚き、異口同音に「イイね」と言う。スマートフォンを持たない女性も「かわいい」「iPhone以外でも使えるの?」などと興味を持った様子だった。
いいものは値が張るのは常識だが、価格について「この先2年使うことを考えれば買うかも」という意見が出たところで思ったことがひとつ。それは、毎日何度も手に触れ、凝視し、欠かさず持ち歩くような品物は、身の回りを見てもほとんどないということ。衣服や靴以上にケースの品質にこだわっても、おかしいことではないはずだ。
そして良い物を持つ満足感は愛着につながり、気に入れば自然と扱いは丁寧になり、より活用したいという気にもなる。ケースはただ保護や装飾のためだけでなく、もっと良くiPhoneと付き合うための触媒としての価値も持ち得るのだ。
(提供:iPad iPhone Wire)