米AMDより15日、かねてから予告されていた「Cape Verde」(開発コード名)コアの普及価格帯GPU、Radeon HD 7700シリーズが発表された。ラインナップは「Radeon HD 7770」と「Radeon HD 7750」の2モデルだ。今回、短期間ではあるが、この2モデルのグラフィックスカードを試用する機会を得たため、そのパフォーマンスをレポートしておきたい。
まずは製品概要を。Radeon HD 7000シリーズでは、既にハイエンドの「Tahiti」(開発コード名)がRadeon HD 7900シリーズとして製品化されている。その下にはまだ未登場の「Pitcairn」(開発コード名)が控えているが、これはHD 7800シリーズになると予想される。今回のCape VerdeことHD 7700シリーズは、現在予定されているHD 7000シリーズでは最も下位のGPUになるようで、さらに下のエントリーモデルには前世代のNorthern Islandsがスライドしてくる。
HD 7700シリーズの主な特徴は、Graphics Core Nextアーキテクチャを採用し、28nmプロセスで製造、PCI Express Gen 3に対応、ZeroCore Power technologyなどの省電力機能に対応など、先行したHD 7900シリーズのフィーチャは不足なく盛り込まれている。ダイの規模はかなり異なり、ブロックダイアグラムを見ると、HD 7900シリーズのものを半分に切って、さらにCompute Unit(CU)を少し削減したような構成になっている。
いわゆるGraphics Core Nextのアーキテクチャを採用する「Southern Islands」(開発コードネーム)ことRadeon HD 7000シリーズには、3モデルのGPUが登場し、エントリークラスにはNorthern Islandsがスライドする計画だ |
HD 7770の主なスペックは、CUが10の1CUごと64SPで、SP数は640基、Texture Unitは40基、ROPは16基、コアクロック1GHz、メモリクロック1125MHz(GDDR5 1GB)、TDP80Wなど。HD 7750では、CUが8つになりSP数は512基、Texture Unitは32基、ROPは16基、コアクロック800MHz、メモリクロック1125MHz(GDDR5 1GB)、TDP55Wなど。HD 7700シリーズのトランジスタ数は共通で15億個なので、CUの無効化とダウンクロックを施したのがHD 7750ということだろう。
ではテストに入りたい。まずは環境を紹介しておく。カードを試用できる期間が極端に短かった関係で、テスト項目や機材環境はかなり絞ったものになっていることをご了承いただきたい。主な環境は以下の表のところに示しておく。
GPU | Radeon HD 7770(リファレンス) | Radeon HD 7750(リファレンス) | Radeon HD 6790(リファレンス) |
---|---|---|---|
Driver | Catalyst 12.1 | Catalyst 11.12 | |
CPU | Intel Core i5-2400 | ||
M/B | GIGABYTE GA-Z68XP-UD4(Intel Z68 Express) | ||
Memory | DDR3-1333 4GB×2 | ||
Storage | Plextor PX-128M2P | ||
OS | Windows 7 Ultimate SP1 |
目安となる比較GPUだが、AMDではHD 7770をGeForce GTX 550 Tiを上回る性能の製品だとアピールしているので、GTX 560や、前世代Radeonで言えばHD 6800シリーズと比べて意味はないだろうと"当たり"をつけ、今回は「Radeon HD 6790」を用意した。このGPUは、モデル名こそ6700シリーズになっているが、中身は6800シリーズのBartsコアなので、パフォーマンステストで、高負荷で微妙な場面はあっても、それ以外では新モデルが上回るのではないかという予想だ。またHD 6790は最近、販売がかなり下がって1万円程度で購入できるあたりまで来ているが、登場時は1万円台中盤で、価格的にもライバルとしてちょうど良いように思える。