Appleが間もなく発表すると噂される次期iPadについて、これまで液晶パネルが高解像度の「Retinaディスプレイ」になるという話がたびたび伝えられていたが、ここにより高速なネットワーク規格である「LTE (Long Term Evolution)」がサポートされるという話も出てきている。
この件を報じているのはWall Street Journalで、関係者の話として、米Verizon Wirelessと米AT&Tがそれぞれの4Gネットワークに対応したiPadの販売を計画しているという話を伝えている。米国における「4G」はHSPA+やWiMAXも含むなど、かなり広義の意味の「4G」となっているが、こと今回のケースでいえば「LTE」を指すと考えて間違いではないだろう。
Verizon Wirelessは2010年末、AT&Tは2011年末にそれぞれLTEサービスをスタートしており、特にVerizon Wirelessのサービスは開始1年半が経過して米国内の主要都市の多くをカバーエリアにするほど拡大が進んでいる。AT&Tは現在テキサス州を中心とした一部都市でのサービス提供にとどまっているが、今夏に向けてLTE対応製品のローンチを多数控えており、今年後半には主要サービスの1つとして前面にプッシュしてくるものとみられる。一方で、WSJはもう1つの米国におけるiPhone取り扱いキャリアである米Sprint Nextelについては同様の話は出ていないとし、2社向けに提供される端末でのLTEサポートとなるようだ。
今回の話には2点大きなポイントがある。1つはLTE搭載により、トラフィックのオフロード先ができたことだ。現在各社の3Gネットワークはパンク状態になっており、より細かい携帯セルやWi-Fiホットスポットに積極的にトラフィックを逃がすなど、各社各様に工夫を凝らしている。ここにLTEの帯域が加わることで、特に通信容量の大きい都市部でのブロードバンド通信をLTE側に流すことが可能になる。もう1つのポイントは「次期iPhoneでのLTEサポート」で、もしiPadでLTEが正式サポートされるのであれば、その次のタイミングで出るiPhoneでLTEをサポートする確率は俄然高くなるだろう。調達の都合もあるだろうし、前述のようにトラフィックのオフロードでの効果が高くなることを考えても、その場合は次期iPhoneでの最大の強化ポイントがこの点になるとみられる。