総務省は2月15日、携帯電話サービスなどを提供する通信事業者であるKDDIに対し、同社が2011年4月30日以降に起こした5件の通信障害を踏まえ、再発防止策などの対策を早急に講じ、実施結果を報告するよう指導した。

今回、総務省の指導の対象となったKDDIの通信障害は、2011年4月30日、11月2日、2012年1月25日、2月9日、2月11日に発生した5件。これらの障害のうち2011年4月30日、2012年2月9日に発生した障害は、スマートフォンのデータ通信に関する障害となっている。詳細は以下の表組みの通りだ。

発生日時 障害内容 影響時間 影響サービス 影響利用者数 原因
2011年4月30日 スマートフォンのパケット通信が利用しづらい状況となった事案 8時間21分 スマートフォンのパケット通信 約91万 スマートフォンに対してIPアドレスを割り当てる装置においてハードウェア障害が発生。予備設備への切替後も、切替手順の不備により、携帯電話端末と予備設備間の通信確立に時間を要した
2011年11月2日 携帯電話の音声通話、SMSが利用できない状況となった事案 7時間34分 携帯電話の音声通話、SMS 約110万 ソフトウェアの更新作業を行っていた加入者交換機においてハードウェア障害が発生。予備設備を切り離して作業を行っていたため、予備設備に迅速に切り替えることができなかった
2012年1月25日 携帯電話サービス及び固定通信サービスが利用できない状況が発生した事案(詳細確認中) 3時間30分 携帯電話(音声通話、パケット通信)および固定通信(音声・データ伝送) 約6~8万 中継系伝送路を構成する伝送設備において、制御基盤に障害が発生。障害発生時の予備設備への自動切替機能が正常に働かなかった
2012年2月9日 スマートフォンのパケット通信及び法人向けパケット通信サービスが利用しづらい状況となった事案(詳細確認中) 2時間34分 スマートフォンのパケット通信及び法人向けパケット通信サービス 最大約130万 スマートフォン用の中継スイッチに障害が発生。スイッチ復旧後も、切替手順の不備により、一部の携帯電話端末とセンター設備との間の通信確立に時間を要した
2012年2月11日 携帯電話のメールサービスが利用できない状況となった事案(詳細確認中) 3時間24分 携帯電話のメール 最大約615万 点検作業を行っていた無停電電源装置において障害が発生し、電源系統の切替を行った際に、メールサーバに対する電源供給が一時的に(30秒程度)停止。これにより、メールサーバが停止したため、起動までに時間を要した

これらの事故報告について総務省は、KDDIがシステムの設備管理の信頼性向上対策などを十分に講じていなかったために発生した事故としており、「重大な事故等の多発は、利用者の利益及び通信サービスに対する信頼を大きく損なうものであり、適切な対応が求められる」(総務省)と判断。

「利用者や通信量の増加に適切に対応するための電気通信設備の配備」「電気通信設備の故障等の発生に対応するための適切な予備設備の配備及び監視体制の構築」「過負荷試験等を通じた輻輳(ふくそう防止」「利用者に対する適切な対応」を踏まえた再発防止策等を早急に実施するとともに、その結果および今後の取組を2012年3月30日までに報告する よう指導している。