Appleを追い出された直後のSteve Jobs氏を、政府のアドバイザリとして要職に招致する計画があったことがわかり、話題になっている。これは米FBI (Federal Bureau of Investigation)が情報公開法(Freedom of Information Act)に基づき2月9日(現地時間)に公開した同氏の個人捜査ファイルの中から判明したもので、もともとは1980年代末に当時のブッシュ(George H.W. Bush)政権の貿易委員会のメンバーの1人として推薦するために身上調査を行ったことに由来する。
公開された調査ファイルは全191ページで、現在はFBIのページから直接確認できる。同ファイルの詳細については、Wall Street JournalやGawker Mediaのレポートが詳しい。1990年前後、Jobs氏はすでにAppleを追われてNeXTを創業しており、さらにPixarがRendermanなどのソフトウェア事業からアニメーション制作に軸足を移し始めていたころにあたる。なお同氏を招致したジョージ・H・W・ブッシュ元大統領は、前大統領のジョージ・W・ブッシュの父親にあたる人物。Jobs氏の政府要職への推薦は1988年にスタートした模様で、1990年にその要請が終了するまで、推薦に必要な身上調査が続いていたようだ。そして1991年に、調査ファイルとして今回公開された書類がまとめられている。
調査はJobs氏周辺の友人や当時の従業員(Pixarなど)へのインタビューが中心で、同氏の評価が浮かび上がってくる。まず人物評については、エネルギッシュで成功を呼び込む手腕を認める一方で、気難しく周囲に敵を作りやすいといった、今日まで伝えられる一般的な評価に近い意見が多いようだ。そして過去の親友が「基本的には誠実で信用できる」とのコメントを出しており、誤解を受けやすい性格を示唆している。またこの手の身上調査でよく問題となる「ドラッグ使用の有無」について、ある女性が「若いころに一緒に試したことがある」と告白している。一方でApple在籍時代に当時の関係者らにドラッグ使用についての見解を問い質したところ、ほぼすべての人物が「もうドラッグはやっていないだろう」との意見で一致していたようだ。