米Microsoftの開発者ブログ向けMSDN Blogsの「Building Windows 8」で、2月9日(現地時間)にSteven Sinofsky氏がARMアーキテクチャ向けWindows「Windows on ARM (WOA)」の概要を明らかにした。
Windows 8は、Windows 7ロゴを備えた既存のすべてのPCで動作するように開発されている。一方、WOAはWindows 8に加えられる先進的な機能を活かし、これまでにない新しいPCを可能にする。WindowsファウンデーションをベースとしたWindowsファミリーの"新しい製品"と言える。WOAがソフトウエアのみ一般提供されることはなく、ユニークな機能・デザインを備えた新カテゴリーのPCを実現する専用プラットフォームと考えると、Windows PhoneやWindows Embeddedに近い位置付けになる。出荷されるWOA PCには専用のラベルが貼られ、消費者がWindows 8 (x86/64)搭載PCと混同しないようにブランディングを行っていくという。
「この全く新しいPCのエコシステムは、新たな機能を活かした新世代PCを実現するチャンスをPCメーカーにもたらします。具体的には、"薄く軽量なインダストリアルデザイン"、"長いバッテリー駆動時間"、"統合による品質"の3点に焦点を当てて、これらのPC(WOA PC)が新たなレベルの機能を実現すると、われわれは表現しています」(Sinofsky氏)
例えば、WOA PCはユーザーが通知を逃さず、必要なときにすぐに使用できるように、常に電源オンで使用するように設計されている。従来のPCのようなハイバネートやスリープのオプションはなく、Connected Standbyモード(ネットワークに接続したまま電力消費を極力抑えてスタンバイ)を常に利用する。
WOAは、Microsoftのメールやカレンダー、写真、ストレージなどを含むMetroスタイルのアプリをサポートし、Windows Storeで配信されるMetroアプリはWOAとWindows 8 (x86/64)の両方で動作する。またInternet Explorer 10を通じて、HTML5のハードウエアアクセラレーションに対応する。
デスクトップ版Office 15(開発コードネーム)のWord/ Excel/ PowerPoint/ OneNoteを搭載し、File ExplorerやInternet Explorer 10などデスクトップ・モードの利用体験もサポートする。ただし、仮想化やエミュレーション技術はサポートせず、既存のx86/64アプリケーションをWOA PCにポートしたり、WOA PCで動作させることはできない。AllThings Dによると、WOA PCのデスクトップ版のアプリケーションはOffice 15に制限される。この点についてSinofsky氏は「既存のコードを幅広くポーティングできるようにしたら、長時間のバッテリー駆動や性能予測、安定した利用体験の長期的な提供が難しくなる」と説明している。
Microsoftは、Windows 8 (x86/64)の次のマイルストーン・リリースのタイミングで、WOAを試すためのハードウエアを一部のパートナーに提供し始める。現時点ではWindows 8 (x86/64)が大きく先行しているが、PCメーカーがWindows 8 (x86/64)搭載PCと同時期にWOA PCも出荷できるのを目標に開発を進めているという。