米Microsoftは1月30日(現地時間)、同社が現在開発中の「Office 15」(開発コード名)がTechnical Previewの状態になったことを報告した。Office 15は現行の「Office 2010」(開発コード名: Office 14)の後継にあたる次期Office製品。今夏にはパブリックベータ版の提供が見込まれるとのことで、おそらく2013年前半をターゲットに新製品がリリースされると予想される。

Technical Previewは特定ユーザーのみを対象にNDA(秘密保持契約)ベースで進められるベータテスト。製品初期のフィードバックを得ることが目的となる。その後、前述のような形のパブリックベータとして幾分か広い範囲でのフィールドテストを行い、正式版への最終仕上げへとかかる。前バージョンにあたるOffice 2010では、2009年11月にベータテストの開始が発表され、2010年前半に製品版がリリースされている。Microsoftでは正式な発売時期についてアナウンスは行っていないが、それに沿えば、今回のOffice 15も2013年前半が当面のリリースターゲットとになると考えられる。

Office 15での強化点などについては不明な部分が多く、Microsoft自身も「これまで以上に人々が作業やコラボレーション、そしてコミュニケーションが賢く、より素早く行える仕組みを提供する」と述べるに留まっている。だがOfficeを取り巻くエコシステムは急速に変化しており、例えば従来はデスクトップPCや企業LANが中心だった作業形態が、モバイルPCやスマートフォン経由での接続、インターネットを介したコミュニケーション、アプリケーションのクラウドでのホスティングと、非常に多様化している。Office自体もオンプレミスなソリューションからクラウドベースへと一部で移行が始まっており、例えばOffice 365や、Exchange/SharePointのオンデマンド型サービスなど、主に中小企業をターゲットに製品の変革が続いている。Microsoftは従来のOfficeに加え、モバイル向け製品やクラウド向けサーバ製品など、複数の製品を同時にカバーしなければならない。

また差し迫った課題としては、タッチインターフェイスを主軸に据えた「Windows 8」上でどのようにOfficeが動作するのかという問題がある。ユーザーインターフェイスの問題、そして「Windows 8 on ARM」のサポートなど、まだまだ不明な点は多い。今秋とみられるWindows 8の発売に向けて、Microsoftが同社OS製品と並んで収益の源泉としている「Office」がどのような形で進化していくのか、今後半年の推移に注目したい。

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