東大で無料開催のコーヒーセミナーがある

東京大学東洋文化研究所の池本幸生教授。前回の「コーヒーサロン」では、東日本大震災で親を失った子供達の支援の為に、エル・サルバドルの生産者から寄付されたコーヒー豆を提供し、集まったお金はあしなが育英会レインボーハウス建設資金として寄付された

東京大学(東京・本郷)で開催されている無料のコーヒーセミナーがある。「コーヒーサロン」という名のそのセミナーは2005年にスタートし、これまでに30回近く開いている。担当しているのは東京大学東洋文化研究所の池本幸生教授だ。

池本教授は以前から、ベトナム中部高原における貧困問題を研究テーマとして取り組んできた。そんな中起きたのが2000年代初頭の「コーヒー危機」。これは、コーヒーの世界価格が大暴落し、それによって世界中のコーヒー農家が貧困問題に直面するというものだった。

池本教授はこれを機に、貧困問題をコーヒー生産農家と関連づけて研究するようになった。2005年に立ち上げたコーヒーサロンのテーマも「持続可能なコーヒーの発展」であり、これは共同座長を務める"コーヒーハンター"こと川島良彰さんとも共有する課題である。川島さんはエル・サルバドルの国立コーヒー研究所に入所し、コーヒー栽培などについて研究。その後、ハワイやインドネシアなどで農園開発や栽培指導を行い、現在は希少種の発掘や保存などを手がけていることからコーヒーハンターと呼ばれている。

池本教授の研究室にはコーヒーの木がうっそうと茂る

「コーヒーサロン」共同座長を務めるコーヒーハンターこと川島良彰さん

池本教授と川島さんによって立ち上げられたコーヒーサロンは、サステナブルコーヒーやレインフォレストアライアンスなどの認証制度といったテーマで回を重ねていき、徐々にコーヒーの淹れ方や焙煎方法といった一般向けの内容にも広げていっている。スピーカーにはコーヒー関連メーカーや生産者を招き、非常に豪華な内容。このセミナーが無料で受講できるとは驚きで、今では毎回100名近くの参加者を集めて大盛況となっている。

「コーヒーサロン」ということでこれまではコーヒーがテーマの中心だったが、池本教授がいま最も興味があるというのが「カカオ」。チョコレートの原料となるカカオ豆は、コーヒーと産地が似ており、チョコレートとコーヒーのペアリングは王道と、共通点の多い素材だ。次回コーヒーサロンは2月10日の開催で、この回のテーマが「チョコレートの不思議」。世界中のカカオ産地を駆け巡るカカオハンターこと小方真弓さんをスピーカーに迎え、カカオ豆がチョコレートになるまでの工程を紹介する。参加費は無料だが、事前申込みが必要なのでコーヒーサロンオフィシャルサイトから申し込もう。

いまでは100名近くの参加者が集まり大盛況の「コーヒーサロン」

会場となる東京大学東洋文化研究所