東芝は26日タブレット端末の新商品として、7型ワイドカラー液晶を搭載した電子ブックリーダー「BookPlace DB50」を発表し、2月10日から販売を開始する。これに合わせ都内で製品発表会を開催し、電子書籍市場拡大への意気込みを語った。
東芝 デジタルプロダクツ&サービス社 デジタルプロダクツ&サービス第一事業部 事業部長 長嶋忠浩氏 |
「BookPlace DB50」は約W120×D11×H190mmのサイズのボディに1,024×600の7型ワイドカラー液晶を採用した電子ブックリーダー。重量は約330g。ブックリーダー機能に加え、無線LANによるWebサイトの閲覧やメールなどの機能を搭載する。この製品の細かい本体スペックについては、ニュース記事「東芝、7型ワイドカラー液晶搭載の電子ブックリーダーを2万円台で発売」を参照してほしい。
「BookPlace DB50」投入の背景として、「潜在的な需要の高さ」がある。同社の試算によると日本国内の個人向けPCの保有数は、約5,600万台。日本の人口から考えると「『ひとり1台』にはまだ程遠い」と東芝 デジタルプロダクツ&サービス社 デジタルプロダクツ&サービス第一事業部 事業部長 長嶋忠浩氏は話す。
10代~70代までの家庭内でのPCの保有状況では、家庭内でPCを共有で使っているユーザーは26.8%。PCを共有しているユーザーは「使いたいときに使えない」ことを不満に感じ、自分専用の端末がほしいと考えており、現在興味を抱いているのが、タブレット端末だという。また、その主な利用用途として、「インターネット閲覧」の次いで意向が高いのが「電子書籍の利用」だ。
電子書籍市場は今後の大きな拡大が予想されている。つまり、端末、コンテンツそれぞれに今後の成長と潜在的なニーズが見込めるとみている。
電子書籍の普及に向けての課題
「しかし、まだ日本では電子書籍市場は紙の書籍の市場と比べて3~4%の割合にとどまっている。一般層へ普及していない」と長嶋氏。同社が2011年4月から開始した「BookPlaceストア」でも、現在の主なユーザー層はITリテラシーの高い30代~40代の男性だという。今後はより一般層にまで拡大していきたいとする。
「電子書籍市場を一般層まで拡大していくに当たって、3つの課題がある」と長嶋氏が挙げたのは「コンテンツの数量」「端末の価格」「使いやすさ、読みやすさ」だ。
その課題に対して、次のような取り組みを行うという。まず「コンテンツの数量」に関しては現在5万冊の蔵書数を今年度末までに10万冊に拡大。「大規模書店の書籍数に匹敵する数」(長嶋氏)。
「端末の価格」については、22,000円の価格を想定。5,000円分のポイントが特典として付与されるため「実質は17,000円のハード価格だといえると考えている。これはアメリカで普及しているカラー端末に匹敵する価格だ」と長嶋氏は自信を見せる。
「使いやすさ、読みやすさ」は、どの画面が表示されていてもワンタッチで「BookPlace DB50」のホーム画面の書棚に戻れる「ホームボタン」やすぐに直前の画面に戻れる「バックボタン」、読みかけの書籍のページに戻れる「コンテニューボタン」など、「使いやすいUIに配慮した」という。さらにページの読み込みをスムーズにするためにより他社の電子ブックリーダーよりも多くのメモリを搭載しているという。
目標は「読書好き」の10%
同社の試算によると10代~70代のうち、月2冊以上本を読む「読書好き」は1,500万人に上る。東芝では2015年までに、PCやタブレット、スマートフォンユーザーを含めた「BookPlaceストア」の利用者を150万人まで拡大したいとしている。現在は目標の1%弱だというが、「BookPlace DB50」を「一般に普及させるための起爆剤」として普及に取り組んでいく考えだ。
また、海外への展開は「検討はしている」という。