パナソニックは1月25日、同日に行われたモバイルノートパソコン「Let's note」の新商品発表に合わせ、SNSユーザー限定のスペシャルイベントを開催した。会場にはデザインが一新された新ラインナップの「Let'snote」が展示されたほか、トークセッションでは関係者から商品開発時の秘話などが語られた。
「Let'snote」シリーズは今年で15周年を迎える。今回の新モデルはこれまでテーマとして掲げてきた軽量・頑丈・長時間・高性能をさらに追求しつつ、スマートフォンとの連携もできる新提案がされているという。招待者で満席になったトークセッションでは、ジャーナリストの津田大介氏と小山龍介氏のほか、パナソニック テクノロジーセンターレッツノート総括参事の坂田厚志氏および同社 市場開発グループ 商品企画チーム レッツノート担当リーダーの井上剛志氏が招かれた。
Let's noteはさらに薄く、頑丈な構造に
パナソニックからは、パナソニック テクノロジーセンターレッツノート総括参事の坂田厚志氏(写真左)と、市場開発グループ 商品企画チーム レッツノート担当リーダーの井上剛志氏(写真右)がトークセッションに登場 |
坂田氏からは、商品の概要と特長について説明があった。今回の新モデル「SX1」「NX1」は堅牢性を保ちつつ、従来機に比べてトータルで30%のスリム化に成功しているという。本来、筐体の厚みを薄くすると面強度は落ちてしまうもの。しかし天板のボンネットに関する構造を見直し、リブの角度をアーチ状にする「新ボンネット構造」という新たな技術を導入することにより、頑丈で薄いボディを実現化したのだという。
坂田氏は「PCの筐体は、金属を型に流しこんで作る。この過程で、厚さが均一でないものを作ることは困難とされていた」と話す。ユーザーからの声、要望をいかに形にするか迫られる中で、「技術屋としてのプライドもあり、じゃあどうしたら良いのか、という議論を重ねた」と開発段階でのエピソードを明かした。井上氏も「やはりユーザーの要望で高いのはモバイル性について。カバンに入れて気軽に持ち歩けるように、どうしたら良いか試行錯誤しながら、最終的に今の形に落としこんでいった」と話した。
そのほか、キーボード面の周囲は従来の樹脂製からマグネシウム製に変更され、シェルドライブにも新たな技術が導入されている。また、放熱効果に関しては小径冷却フィンが多数設置され、ファンの羽の形状が改善されたことにより風量もアップした。新たな技術の融合で、薄型化と性能向上の両立が図られているわけだ。
会場では、列席した招待者から2名の成人男性が選ばれ、実際に「SX1」の上に乗るというパフォーマンスが行われた。100kgの重さにも耐えられるということで、立て続けに2人が乗った後に小山氏が電源を入れると、まるで何もなかったかのように「SX1」が起動し、会場からは拍手が沸き起こった。
スマートフォンとの連携技術
今回のモデルは、スマートフォンと連携できる機能もいくつか搭載する。そのひとつが、電車などPCを開けない場所でも、スマートフォンでPC内のデータを閲覧し編集できるというものだ。昨今、何かとクラウド連携技術に注目が集まっているが、坂田氏によれば「クラウドはセキュリティなどの問題も含め、まだネットワークの環境自体が成熟していない面がある。その中で、まずはローカルでセキュアに、確実につながる方法を考えた」とのことだった。もっとも、将来的にはクラウドに関するサービスも本格的に参入していく見込みだという。
また、最大1.5Aの電流を放電できる「Let'snote」のUSB充電ポートでは、スマートフォンの充電もできるようになっている。これはPCの電源を落としていても可能で、通常のUSBポートからスマートフォンを充電するときよりも短時間で充電完了するという。津田氏は「PCについている大きなバッテリーがモバイルバッテリーになるというのは、コロンブスの卵的な発想」とコメントし興味津々の様子だった。そのほかスマートフォンとの連携技術では、Wi-Fi経由でPCとスマートフォン上の特定フォルダを同期する機能も搭載されている。
バッテリーについてはさらに、「SX1」のスタンダード(SSD)モデル/スタンダードモデルおよび「NX1」に、約16時間の駆動ができる大容量の標準バッテリーパック(L)が付属される点も注目された。定期的に被災地などを訪れる活動をしているという小山氏は「バッテリーが16時間も持つというのは、ストレスを感じることなくPCを利用できるためのいちばん大事な要素」と、電源のとれない場所でPCを利用することが多いユーザーならではの意見を述べた。また、「キーボードに関してはキーの形状、傾斜から、印字の視認性に至るまでが見直されている。ここまでやるかと頭が下がる」と、率直な感想を述べた。
このトークセッションの様子はストリーミング配信され、Twitterでも質問・意見の募集が行われた。つぶやきは会場の大型スクリーンに映し出され、気になる書き込みは随時、津田氏が読み上げた。
本モデルでは別売で天板カバーの付け替えにも対応しているが、これについて「カバーが種類があって可愛いので、学生も買うのではないか」などの意見が寄せられた。津田氏も「無骨な、ビジネスパーソン用のモデルから脱却できている」とコメント。この色展開について井上氏は「この着替えのアイデアも、ユーザーの要望によるものだった」と話し、携帯電話やスマートフォンとPCでは構造が違うものの、チャレンジしたというエピソードを明かした。
井上氏は今後の「Let'snote」シリーズについて、「ここで止まるわけにはいかない。常に次の進化型を考え続けている」とさらなる発展を約束。最後に津田氏が「バッテリー単体でも充電できるようにしてほしい」と新たな要望を寄せると、「分かりました。検討させていただきます」と力強く回答していた。