ソニーエリクソン(Sony Ericsson)は19日(欧州時間)、2011年第4四半期(10-12月期)決算を発表した。同四半期の売上は12億8800万ユーロで前年同期比16%のダウン、純利益(損失)は2億700万ユーロの赤字で、前年同期の800万ユーロの純利益から大きく下がった。出荷台数も2割ほど減少しており、競争の激化や経済情勢の悪化が原因だとしている。
なお同社は従来Ericssonが持っていた株式をソニーに譲渡することで合意しており、間もなくソニー100%子会社の「ソニーモバイルコミュニケーションズ(Sony Mobile Communicationcs)」になる予定。子会社化の完了は1月末ないし2月を見込んでいる。
同社プレジデント兼CEOのBert Nordberg氏は「今回の結果は激化する競争、悪化するマクロ経済情勢、今期のタイでの洪水などの影響を反映したものだ」とコメントしている。一方で2011年を通しで見たとき、フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が本格化した年でもある。同社は2012年内にもすべての携帯電話製品ラインをスマートフォンにする意向を発表しており、昨年2011年はその移行期にあったといえるだろう。同四半期におけるAndroidスマートフォン製品の売上は65%伸びており、最近発表したXperia NXTシリーズを含め、2012年の製品戦略の中核を担っていくと同氏は説明する。同四半期現在、同社の携帯電話の売上の80%をXperiaシリーズが占めているという。
だが競争激化を表すように、同社のビジネスは厳しい環境が続いている。例えば売上でいえば前出のように昨年同期比で16%の減少が見られるが、さらに直前の2011年第3四半期と比較しても19%のマイナスとなっている。本来商戦期であるはずの第4四半期での減少は大きな痛手とみられる。これは出荷台数ベースでもみられ、2010年第4四半期が1120万台、2011年第3四半期が950万台、2011年第4四半期が900万台と年々減少している。一方で端末の平均販売価格(ASP)はそれぞれ、136ユーロ、166ユーロ、143ユーロとなっており、1年前との比較では上昇している。これは単価の低いフィーチャーフォンから単価の高いスマートフォンへの移行が進んだ一方で、競争激化により再びASPの下落圧力が強まった結果とみられる。こうした情勢を受け、ソニーエリクソンでは人員削減を含むリストラクチャリング計画の9300万ユーロの費用を今年第4四半期に計上しており、これが営業利益を圧迫する結果となった。
ソニーエリクソンとしての決算は今回が最後になるとみられるが、今後はソニーの一部として両社が密接に連携して研究開発費用やマーケティング費用を圧縮しつつ、厳しい情勢にある欧州からよりワールドワイドを主眼においた戦略をとる必要が出てくるだろう。2012年は新生ソニーモバイルコミュニケーションズの門出であると同時に、試練の年となるかもしれない。
(記事提供: AndroWire編集部)