企業のPC市場といえば現在ではWindowsが定番となったが、最近になって大企業がMacをクライアントで導入する事例が増えているようだ。例えばGeneral Electric (GE)は従業員がMac製品を選択できるプロジェクトを実施しており、すでに1,000台以上のクライアントが導入される見込みであるという。
この件を報告しているのはWall Street Journalだ。同紙によれば、GEは過去1年間にわたるプロジェクトの中で従業員がMacベースのデスクトップまたはノートPCを選択可能にする方針を打ち出しており、すでに同社内に1,000台のMacが稼働しているほか、今後もさらに拡大する見込みだという。だが実際のところ、GE社内には33万台のPCクライアントが存在しており、そのほとんどがWindows PC。Macはそのうちのごくわずかな割合に過ぎないが、「企業PCはWindowsでなければならない」というハードルはなくなりつつあることを示している。また金額的に、MacとWindows PCでそれほど差がなくなりつつあることも背景にあるようだ。
WSJによれば、こうした展開は「家でもMacを使いたい」という従業員側の要望に依る部分が多く、昨今ユーザー数が増えつつあるApple製品の人気を背景にしたものがあるとみられる。Forrester Researchの試算によれば、企業でのApple製品の利用は前年比50%規模で増加し、Mac製品で90億ドル、iPadで100億ドル規模に達するという。一方で企業が非Apple製品に費やす金額は3%減少し、690億ドルの水準になるとみられるようだ。またGEのケースにおいては、それまで従業員向けに利用してきたRIMのBlackBerryをiPhoneで置き換えるプロジェクトが2008年から進行しており、現時点でBlackBerryの5万台に対し、iPhoneが1万台に達したという。企業向けで大きなシェアを持つRIMにとっては非常に脅威だ。
コンシューマでの人気をバックに企業向け市場での開拓が進みつつあるApple製品だが、さらに大きなビジネスに成長しつつあるとみられるのがiPadだ。前述のように企業向け市場ではMacよりもiPadの金額規模が大きくなると予測されており、それを示唆するようにさまざまな場面でiPadをパイロット導入しようとする企業が増えつつある。例えばBoston Scientificのケースでは「Macでは既存のシステムインフラとの互換性の問題がある」と認めつつも、iPadはその限りではないとし、iPad発売日の翌日には4,500台の同デバイスを事業所内で世界展開したことが知られている。現在は技術的にiPad上ですべてのシステムが問題なく利用できることを確認しており、年内にもすべてのクライアントをiPadベースに移行する計画だという。