日本撤退から2年。ついにウェンディーズが帰ってきた。四角いパティのハンバーガー、ホカホカのチリがまた食べられる。ファン待望の復活だ。でも、復活1号店に行ってみたら、新しいウェンディーズは3年前とはちょっと違う。店のデザインが落ち着いた印象になっただけではなく、ハンバーガーそのものがおいしくなった気がする。アメリカにはない新メニュー「ジャパン・プレミアム」もある。新しいウェンディーズは今までの店とどう違うのか。今後の展開はどうなるのだろうか。とっても気になる。

表参道のウェンディーズ復活1号店(写真提供: 丹青社 撮影ピップス 御園生大地 PIPS Taich Misonoo)

ウェンディーズバーガーが帰ってきた

撤退時から再上陸の動き

実は、米国ウェンディーズ・カンパニーが日本を撤退した時、すでに再上陸させる動きはあったという。市場調査やモニタリングなどは極秘裏に行われていたのだ。今回、ウェンディーズと合弁会社を作ったヒガ・インダストリーズの社長、アーネスト・エム・比嘉氏は、米国大使館の仲介でウェンディーズ・カンパニーに日本市場をレクチャーする。比嘉氏は日本で初めてデリバリー・ピザを展開し、1,500億円市場へと育てた実績がある。その対話の中で「一緒にやりませんか」という展開になったそうだ。

ヒガ・インダストリーズがその提案に応じた背景には、日本にたくさんいたウェンディーズ・ファンの存在があった。ウェンディーズが日本を撤退したあとも、SNSにはウェンディーズのコミュニティが存在し、思い出話や米国旅行でウェンディーズに再会した人のみやげ話で盛り上がっていた。2007年にバーガーキングが復活したこともあり、「いつかウェンディーズも……」と再来を信じる人が多かったという。

「ウェンディーズチリ」ウェンディーズはチリが手軽に食べられる店として人気があった

そこで、ヒガ・インダストリーズはウェンディーズ・カンパニーに条件を出した。「米国ウェンディーズの伝統と基本メニューは継承しつつ、日本オリジナルの展開をさせてほしい」と。すでに日本にはハンバーガーショップがたくさんある。価格競争ではなく、デリバリーピザの展開同様に、ニッチから新しい切り口を探した。そのキーワードが「ファストカジュアル」だった。

「アップルナッツ チキンサラダ」ウェンディーズは店内で新鮮な野菜をカットする

「ベイクドボテト カルボナーラ」はジャガイモの素材の美味しさを活かす一品

「ファストカジュアル」とは、レストランより手頃な価格とスタイルで、ファストフードよりクオリティが高いという業態だ。客単価は8~15ドル。子供の頃からハンバーガーで育ってきた人々が大人になって「より新鮮でヘルシーなハンバーガーを食べたい。少し高くてもいいから、もっとおいしい物を食べたい」と志向するようになった。ファストフードに親しんだ人向けの、ファストフードの進化形ともいる。現在、米国ではファストカジュアルスタイルの業態が急成長しているという。

米国定番のメニューの他にファストカジュアル商品を展開する

ヒガ・インダストリーズは食品輸入ビジネスの中で、かねてよりファストカジュアルに注目していた。デフレの日本とはいえ、いつかファストカジュアルの時代がくる。ウェンディーズをファストカジュアルとして普及させよう。このコンセプトが、店舗のインテリアやメニューに採用された。2009年までのウェンディーズは「ファストフード」。新しいウェンディーズは「ファストカジュアル」だ。