ソフトバンクグループのWireless City Planning(WCP)は1月18日、次世代通信規格「AXGP」を使ったデモンストレーションを公開した。AXGP(Advanced eXended Global Platform)は、ウィルコムが開発したXGPの高速化規格で、ウィルコムから事業を継承したWCPが開発、サービス展開を行っている。
AXGPは、下り最大110Mbps、上り最大15Mbpsを実現する予定の通信規格。PHSと同様の通信方式「TDD(Time Division Duplex=時分割多重通信)」を採用し、狭い範囲で基地局を設置するマイクロセル方式を採用しつつ、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access=直交周波数分割多元接続)やMIMO(Multiple Input Multiple Output)といった技術を盛り込み、高速化・大容量化を図った技術だ。
すでにサービスは昨年11月からスタートしているが、商用端末が登場するのは2月から。WCPはMNO(移動体通信事業者)として回線を貸し出すことが事業で、最初のMVNO(仮想移動体通信事業者)としてソフトバンクモバイルが、2月にポータブル無線LANルーターをリリースし、ユーザーがサービスを利用できるようになる。
AXGPの説明にたった同社執行役員CTO兼技術統括部長の近義起氏は、電話業界には「三度のイノベーションがあった」と話す。一度目が1876年のグラハム・ベルによる電話の発明で、二度目がモトローラのマーティン・クーパーによる1973年の携帯電話の発明。そして三度目が、2007年、アップルのスティーブ・ジョブズによるiPhoneの発明だ。
携帯電話が発明され、世界で50億人が使うようになって社会的インフラになったと近氏。同時に、インターネットが社会インフラとなり、iPhoneによって携帯のインフラとインターネットが統合したと話す。しかし、このiPhoneはあくまで「端末だけがイノベーションした」状態で、インフラは従前のままのため、「トラフィックが爆発的に増大し、5年で32倍、10年で1,000倍になる」と近氏は指摘する。
それに加えて、クラウドサービスが広がってきており、これも無線通信にとってはトラフィック増大につながり、「ワイヤレス業界にとってクラウドは暗いイメージ。光を入れなければならない」と近氏は強調。トラフィックの処理が「モバイル業界に課せられた一番大きなチャレンジ」であり、さらに1,000倍にトラフィックが増えても利用料金を上げることもできないため、「1ビット当たりの単価を1/1,000にしなければならない」と指摘する。