米Polaroidは、米国ラスベガスで開催中のInternational CES 2012の会場で、Android搭載デジタルカメラ「Android HD Smart Camera SC1630」を展示している。4月にも米国で発売する予定で、価格は299ドル。
Android HD Smart Cameraは、携帯端末用のAndroid OSを搭載したデジタルカメラ。カメラとしては、撮像素子に1/2.33型1,600万画素CCD、光学3倍ズームレンズを搭載する。レンズは焦点距離36~108mm(35mm判換算時)、F値はF3.1~F5.6、撮影可能範囲はマクロで5cm、最大ISO感度はISO3200、720pの動画撮影機能などを備えている。
カメラのスペックとしては特徴的なものはないが、最大の特徴はOSがAndroidであり、スマートフォン機能も備えているという点。液晶は3.2型800×400(WVGA)で、マルチタッチもサポート。ロック画面では、画面の南京錠アイコンを左にスライドさせるとスマートフォンが、右にスライドさせるとカメラが起動する。
スマートフォンを起動すると、一般的なAndroid端末と同じように、インターネットにアクセスしたり、メールを書いたり、SNSに投稿したり、といった作業ができる。Android Marketもサポートするので、自分でアプリをインストールもできるし、普通のAndroid端末と変わりはない。
通信機能はW-CDMA 850/1900/2100MHz、GSM 850/900/1800/2900MHzに対応し、HSPAをサポートするので、下り速度は最大7.2Mbps、上りは最大5.8Mbpsを実現。IEEE802.11b/g/nの無線LAN、Bluetooth、GPS、FMも内蔵する。内蔵メモリはROM/RAMともに512MBで、32GBまでのmicroSDカードに対応する。
本体サイズは111.9(H)×56.9(W)×15.5~18.5(D)mm、約140g(バッテリ含む)で、スマートフォンとしてはやや厚みがあるが、光学3倍ズーム搭載デジカメとしては一般的で、持った印象もそれほど厚くは感じない。
Android操作中、側面のカメラボタンを押すか、カメラアプリを起動すると、背面の沈胴式レンズがせり出し、カメラが起動する。「光学ズームが付いたスマートフォン」という趣ではあるが、デジカメメーカーでもあるPolaroidは「スマートカメラ」という位置づけだ。
光学ズームレバーを使ったズーミングは早いし、シャッターボタン半押しから撮影する操作は一般のデジカメと変わらない。もちろんタッチパネル操作にも対応し、タッチした場所にピントを合わせてシャッターをきる機能も搭載している。
画面タッチしやすいように大きなアイコンで設定が表示され、画面タッチして設定していく形だが、操作はしやすい。シングルコアプロセッサで、動作は決して速くはないが、静電容量式のタッチパネルの反応はまずまず。
カメラとしては低価格コンパクトデジカメだが、撮影したあと、Androidスマートフォンらしい活用ができるのもメリットだ。アプリを導入して画像に効果を加えたり補正したりして、そのままTwitterなどのSNSにコメント付きで投稿したり、画像共有サイトにアップロードしたりといったことも、通信機能を備えたAndroid HD Smart Cameraなら簡単にできる。Androidスマートフォンが搭載するGPSや基地局・無線LANアクセスポイントを使った高速な位置検出も便利だろう。
スマートフォンとしても、通常のAndroid端末と同じことはできるし、カメラアプリをダウンロードして使うことで、普通のカメラにはない、特殊効果を使った撮影などもできる。リアルタイムOSではないため、安定性や信頼性に多少の心配はあるが、スマートフォン機能を備えたデジカメとして面白い製品だ。
なお、現在のAndroid OSのバージョンは2.3.4だが、発売日までにはアップデートする予定で、Android 4.0(Ice Cream Sandwich)へのアップグレードも行うそうだ。