開幕を目前に控えたCESのプレビューイベント「CES Unveiled」の会場で、LenovoがAndroidとWindowsの"ハイブリッド"をうたうノートPCを出展していた。13.3型のノートPC「ThinkPad X1」をベースとした製品で、モデル名は「ThinkPad X1 Hybrid」。内部にARMベースのプロセッサと、Intel製Core iプロセッサを搭載したハードウェアプラットフォームを備えており、1台のノートPCでありながら、それぞれのプラットフォーム上でWindows OSとAndroid OSを使い分けることができる。
従来製品である「ThinkPad X1」は、薄型軽量かつ堅牢性が特徴のWindowsノートだが、「ThinkPad X1 Hybrid」は、その特徴をそのままに、さらにARMベースのAndroidシステムを追加している。Windows OSの起動中でも、「Instant Media Mode」と呼ばれるAndroid OS環境を動作させることができ、双方のOSはそれぞれのハードウェアプラットフォーム上でそのまま動くことから、動作も軽快だ。展示中のデモ機では、Windows 7とAndroid OS 2.3系が動作していた。
Windows 7起動中に、「Instant Media Mode」のポップアップを呼び出して項目をクリックすれば、そのままシームレスにAndroid環境が起動する。キーボードやタッチパッドもそのまま使える |
ハードウェアをもう少しだけ説明しておくと、Qualcomm製デュアルコアのSnapdragonや、ストレージとして16GBフラッシュなどもオンボードで載せたmini PCI Express拡張カード状の小型基板が、Android用の独立したハードウェアプラットフォームを担っており、これがIntelプラットフォームのマザーボード上のmini PCI Expressスロットに搭載されている。見た目だけなら、Windowsノートに小さな拡張カードが追加されているようにしか見えない。
AndroidモードにあたるInstant Media Modeでは、ブラウジングやメールなどを利用できるほか、メディア視聴など一般的なAndroidでできることはほとんど可能(Android Marketには対応しないそうだ)。ソフトウェアランチャ類など同社のAndroidタブレット「Ideapad Tablet」と同様の独自の機能も備えているが、OSのインタフェース系もAndroidに近い。また、AndroidとWindowsは独立して動作し、シームレスな切り替えもできるほか、Windows上からAndroid上のストレージにアクセスしてファイル転送できるなど(これは恐らく通常のマスストレージとして認識していると思われる)、一部はハードウェア間で連係して利用することもできていた。
ただ、単に「両方使える」というだけだと、「Android側は普段、どうな使い道があるのか」と、メリットがわかりづらい。が、ここで最大のポイントとなるのがバッテリ駆動時間のようで、Instant Media Mode時は、Windows+Intel Core i側の消費電力をカットでき、結果、Windows+Intel Core i動作時のおよそ2倍となる、最大10時間のバッテリ駆動時間を確保できるようになるのだと説明している。
発売日は正確には未定だが、2012年第2四半期中の「早い時期」(同社展示スタッフ)で、日本向けは不明。同機のWindows PCとしてのスペックは従来機ThinkPad X1に準じているので、これにIdea Pad Tabletを別に購入する金額をあわせると、ちょうどこのくらいの値段になるわけだが、販売価格の方は北米市場で1599ドルからとのこと。