昨年2011年の米国ホリデーシーズン商戦において目玉となった「Kindle Fire」だが、タブレット市場で先行するAppleの「iPad」の売上を侵食した形跡がみられたという。だがその影響は1割ほどで、iPadとKindle Fireの購入層は異なる可能性が高いようだ。
同件はAll Things DigitalのJohn Paczkowski氏がMorgan KeeganのアナリストTavis McCourt氏のレポートを引用する形で1月3日(米国時間)に報じている。それによれば、当初McCourt氏は昨年ホリデーシーズン商戦におけるiPadの販売台数を1600万台と予測していたものの、現在では1300万台程度と見積もっている。一方で米Amazon.comの調査データから算出したデータによれば、同時期のKindle Fireの販売台数は400万-500万台程度となり、このうちの100万-200万程度がiPadの販売台数を侵食したぶんに相当するという。McCourt氏によれば、このデータそのものはiPadからKindle Fireへの大規模な顧客シフトを示すものではなく、その理由として異なる価格帯の製品であることを挙げている。例えば、Kindle Fireの顧客の大部分はiPadのような500ドルオーバーの製品を求めるユーザー層とは被っておらず、どちらかといえば「タブレットを買いたいが、安い製品を探している」という層にマッチしたという。
販売価格199ドルのKindle Fireはホリデーシーズンの始まる11月初旬に市場投入が行われ、瞬く間に大ヒットとなった。一方で同クラスの競合Androidタブレットが500-600ドルの価格を提示するなか、Kindle Fireの製造原価が200ドル前後のほぼ赤字水準であることが示唆されているなど、非常に戦略的な価格付けが行われている。このほか、TargetやWal-Martのような大手リテールストアで123ドルの販売価格が提示されている例も見受けられるなど、Amazon.comから販売報奨金が提示されている可能性があり、ユーザーにとっても非常にお買い得な製品となっている。その秘密は「コンテンツを販売して稼ぐ」というAmazon.comならではのビジネスモデルにあり、Kindle FireはAndroidベースのタブレット製品である一方、そのアプリやコンテンツはAmazon.comのストアからのダウンロードに限定されているなど、自社ストアへの誘導を目的としたハードウェアにカスタマイズされている。いわゆる汎用のAndroidタブレットとは異なる製品だが、その価格の安さゆえにタブレット的マシンを欲するユーザーから一定の支持を得たのだろう。
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