俳優の染谷将太と女優の二階堂ふみが22日、東京・丸の内の東商ホールで行われた、映画『ヒミズ』の完成披露試写会に出席した。

左から、染谷将太、二階堂ふみ、園子温監督 拡大画像を見る

映画『ヒミズ』は、『ヤングマガジン』(講談社刊)で連載された古谷実の同名コミックを映画化したもので、『冷たい熱帯魚』などで知られる園子温が監督を務めた青春感動作。15歳の住田祐一(染谷)は、衝動的に父親を殺してしまったことをきっかけに、唯一の願いであった"普通の人生を全うすること"を諦め、世間の悪党を殺していくことを決める。未来を捨てることを選んだ住田に想いを寄せる茶沢景子(二階堂)は、彼を救おうと奔走するが――というストーリーで、2012年1月14日から全国公開予定。

舞台あいさつには、染谷、二階堂のほか、渡辺哲、でんでん、園監督が出席し、園監督は「本当に長いこと公開を待っていたので嬉しい。リアルな現代の若者を描いたので、環境は震災後ですが原作のスピリットに準ずると思う」と自信を見せた。染谷は「傍から見たら戦場のような現場でした。もう無我夢中で……。自分の心に響く痛みでしたが、苦しくはなかったです」と撮影を振り返ると、二階堂も「現場は良い意味でピリピリしてて。監督に『茶沢、しっかりしろ!』と怒鳴られ励まされました」と笑顔で語った。そんな主演の2人に対し、渡辺は「2人にものすごく煽られましたね。すごい迫力で叩き合ったりして、かわいそうだった」と迫真の演技に面食らった様子。園監督も「2人は自分の限界を作っていないので、演出の仕甲斐がありましたね。どんどん強くなっていくんで」と染谷と二階堂を称賛した。

同作は今年のヴェネチア国際映画祭で、染谷と二階堂が最優秀新人賞をW受賞し、日本人初の快挙を成し遂げた。染谷は「生まれて初めてのスタンディング・オベーションに感動しました。笑顔で拍手されるのを見て、本当にやって良かったと思った」と笑顔で喜びを語ると、二階堂は「撮影中、監督に『君が頑張ればレッドカーペットを歩くことも出来るんだぞ』って言われたことがあって。実際に歩くことが出来て、しみじみしました」と感慨深げ。2人にはサプライズで、初対面となる新人賞のトロフィーと大きな花束が贈られ、さらにゲストで"ヒミズ"というモグラも登場すると、会場からは「おめでとう!」と大きな歓声が上がった。でんでんは「染谷くんは、甲子園で試合を重ねて強くなっていく選手みたいだった。日本を代表して世界へ羽ばたいて欲しい」とエールを送っていた。