「エコプロダクツ2011」が12月15~17日に開催された。同展示会は、環境問題に関するさまざまな製品や技術、サービスを展示する国内最大級のイベントだ。13回目を迎える今回のテーマは、「日本発! エコの力で明日を変える Green For All, All For Green」。752の企業・団体が出展した。本記事では、家電メーカーのブースを中心に、展示の様子を紹介していく。
省エネ家電と創エネ--パナソニックブース
パナソニックブースでは、「エコナビ」製品やLED照明などの省エネ家電製品と、太陽光発電関連の展示がメインとなっていた。「エコナビ」製品は、センサーによって動作を細かく制御することで、ユーザーに負担をかけることなく無駄な電力消費を抑える機能の総称だ。ブースではスケルトンモデルが用意され、その構造と働きが紹介されていた。
LED照明関連では、来年の春に発売が予定されている「美光色LED」や、10月に発売された「クリア電球タイプ(LDAHV4L27CG)」のLED電球などが展示されていた。美光色は、演色性能の高さだけでは実現できなかった忠実な色合いや自然な肌の色を実現する技術。クリア電球タイプのLED電球では、下の写真を見てもらえれば分かるように、ちょうど電球のフィラメントの位置にLEDチップが配置されているのだ。電球とほぼ同じような配光と色温度を実現している。
バイオ電池や蓄電池など電池がメイン--ソニーブース
ソニーブースのメインステージでは、ぶどう糖で発電を行うワークショップが開催されていた。ぶどう糖は古紙などから取り出した繊維「セルロース」を酵素で分解して作り出している。
同ブースでは製品の製造や破棄の段階での環境負荷の低減といったテーマでの展示が多い。その中で、ほぼ唯一の製品としてコーナーが設けられていたのが、ホームエネルギーサーバー「CP-S300」だ。これは、停電時などにAC100Vを出力できる充電池で、オリビン型リン酸鉄リチウムの採用により、10年という長い寿命と安全性を両立している。充電時間は約6時間で、300Whの電力を供給可能だ。また、満充電の状態から1年放置しても、約90%の容量をキープする。他の蓄電関連商品が、比較的電気関係に理解のあるユーザーを想定しているのに対して、CP-S300は製品のフロントパネルに接続できる電化製品が記載されているなど、ユーザーフレンドリーなスタイルも特徴だ。
いざというときに、家庭用のAC100Vを供給できる「CP-S300」シリーズ。「CP-S300E」が東日本の50Hz地域用で、「CP-S300W」が西日本の60Hz地域用 |
どの機器がどれくらい使用できるのかが、フロントパネルに書かれている。こういった充電池が必要になる際には、マニュアルを探して読むといった悠長なことはやってられないわけだから、実に合理的だ |
ソーラーパネルと省エネ家電、LED照明にも力を入れる--シャープブース
シャープブースのメインは太陽光発電だ。メインステージでは、同社のソーラー発電に対する取り組みを、大型のマルチディスプレイで紹介していた。ブース内には、同社の家電製品の省資源化への取り組みについての展示スペースが設けられていた。写真は、同社のエアコンの最新モデルが採用している室外機ファンと、フリースタイルアクオスの分解モデルだ。フリースタイルアクオスでは、軽量薄型のスタイルを実現するため、一般的な液晶テレビに比べて部品点数が大幅に削減されていることが分かる。
シャープブースのメインは、さまざまな太陽光発電システム |
効率を高めるために、イヌワシの翼の形状を参考にしたエアコン室外機ファン |
軽量薄型なフリースタイルアクオスは、使用している部品の量も削減されている |
また、ブースの外側はLED照明のコーナーとなっており、14日に発表された40形の直管LEDや直管LED用照明器具、新モデルの角形シーリングライトなどが展示されていた。直管LEDは低ランニングコストかつ長寿命が特徴で、蛍光ランプからの置き換えが想定されるデバイスだ。それらの特徴に加えて、LEDならではの付加価値がプラスされているのが同社の直管LEDの特徴。その付加価値というのが、調光機能と初期照度補正機能の搭載だ。これらは、従来のラピッドスタート式の蛍光ランプでは搭載しにくかった機能で、LEDを使用した器具ならではのものだといえる。調光機能により、使用する場所やシチュエーションに合わせて適度な明るさにコントロールすることが可能だが、従来はこれを、白熱灯を使用したダウンライトなどを併用することで実現していた。また、LEDとといえども、使用している間に、その光量は次第に低下していく。同社の直管LEDの定格寿命は6万時間で、その時点での光量は初期の95%以上とされているが、それを見越して初期に照度を落とすことで、明るさの変化を抑えるというのが、初期照度補正機能だ。
その他のブースでもLED照明の展示が広がる
その他のいくつかのブースでも、LED照明の展示スペースが拡大していた。三菱電機ブースやNECブースでは、直管LEDと40型直管蛍光ランプとの消費電力や明るさを比較するデモを実施。三菱電機オスラムでは、JEL801規格に準拠した直管LEDと独自規格の直管LEDの両方を発売しているが、今回展示していたのは、JEL801規格のモデルのみだった。また、日立ブースやNECブースでもLEDシーリングライトを展示。NECライティングは、LEDシーリングライトの発売に関しては後発組だ。だが、その製品ラインナップは、先行しているメーカーに負けておらず、洋風で5種類、和風でも2種類のシリーズを展開している。ブースで聞いた話では、ユーザーの選択肢が増えたことが市場の拡大につながっているとのことで、同社のLEDシーリングライトも現在、「店頭で飛ぶように売れている」そうだ。
三菱電機オスラムの、ほぼクリア電球なLED電球「PARATON-CLASSIC A」 |
日立ホームアプライアンスのLEDシーリングランプ |
各社のブースで、直管LEDと蛍光ランプとの消費電力比較でもが行われていた。写真はNECブース |
各社の積極的な取り組みが目立ったエコプロダクツ2011
さて、深刻な電力不足や計画停電などを経験した後ということもあり、ユーザーサイドのエネルギーに対する意識は高まっている。それを反映した今年のエコプロダクツでは、創エネ、蓄電関係の展示が目立っていた。家庭用のソーラーシステムやメガソーラーといった、再生可能かつインフラがトラブルを起こした際のバッファーとしても期待できるシステム、さらには、もっと手軽に小規模な発電、蓄電を行うためのシステムが、多くのブースで展示されていた。
また、省エネ家電の展示の比率も高くなっていたようだ。もちろん、昨年までも省エネ家電などの展示は行われていたのだが、どちらかというと、製造時の環境負荷の少なさをアピールする展示の比率が高かったという印象がある。
さらに、各メーカーのブースで目立つのが、LED照明の展示スペースの拡大だ。昨年のエコプロダクツでは、LED電球こそほとんどのメーカーが展示を行っていたが、シーリングライトやダウンライト、ペンダント、ブラケットといったLED照明器具は、限られたブースにしか展示されていなかった。今年はそれが一変し、ほとんどのメーカーのブースで幅広いラインナップの展示が行われていた。また、3月に行われたライティングフェアの会場では、直管LEDでJEL801規格に準拠し、かつG-16tソケットを採用していたメーカーは、まだ少数派だった。だが、エコプロダクツ2011の会場では、JEL801規格以外の直管LEDを探すほうが難しい状態だ。40W形以上の直管LEDに関しては、JEL801規格という流れが見受けられた。