バイドゥは12月13日、Android端末向けの日本語入力システム「Simeji」に関する全ての事業を取得したことを発表した。今後、同社ではSimejiと「Baidu IME」の企画・開発・マーケティングの一元化を進めていくとしている。
SimejiはAndroidマーケットのIMEの分野で国内最大規模のダウンロード数を誇る日本語入力システム。今回の事業取得の件により、同アプリ開発者の足立昌彦氏とデザイナーの矢野りん氏はバイドゥに入社し、引き続きSimejiの企画・開発業務を担当するという。バイドゥはPC向け日本語入力システムBaidu IME正式版を今年5月から無償提供しており、国内では現在、約180万人のユーザーが利用しているとみられている。
登壇したBaidu, Inc.CEO補佐兼バイドゥ代表取締役社長のアラン・ザン氏は「今回の事業取得により、日本のユーザーにとってより利便性の高い革新的なIMEサービスが提供できると確信している」とし、グローバル戦略の最重要市場と位置付けている日本市場で今後もより積極的な施策を展開していきたいと力強く語った。続いて登壇したBaidu, Inc. 駐日首席代表兼バイドゥ代表取締役副社長のチン・カイトウ氏からは、PC版Baidu IMEの機能および今年リリースしたサービスについての簡単な説明があった。11月21日に追加された「クラウド入力機能」はクラウド上の辞書を参照して文字変換を行えるもので、これにより長文入力時の変換精度が大幅に上がったという。
次に足立昌彦氏と矢野りん氏が登壇。Simejiの概要についての説明があった。足立氏は「SimejiのプラグインであるMushroomは100以上の種類が存在し、自由にIMEをカスタマイズできることから好評をいただいている」と述べ、ATOKなど大手ベンダーが提供しているIMEにも対応していると説明した。矢野氏は「Simejiのソフトウェアキーボードを着替えることのできるスキンは1年間で100万回以上のダウンロードを記録している」と報告、スキンはIMEを身近なものにしてくれ、使う楽しみが増えるツールであると紹介した。最後に足立氏は「バイドゥは人を大切にする企業文化と高い技術力、IMEのノウハウを持っている。このような環境で働けることをとても楽しみにしている」とコメントした。
最後に質疑応答の時間がもうけられた。日本市場に参入する理由についてチン・カイトウ氏は「中国には多くのIMEが存在しているが、日本には選択肢が少ないと感じている。選択肢を提供することで、新しいマーケットを開拓できると判断した」と回答。Simejiを選択した理由については「カスタマイズできるIMEという点で、Baidu IMEの理念に一番近いと感じた」としている。
来年度以降のロードマップについて聞かれた足立氏は、現在、Simejiのダウンロード数が180万ダウンロードに達していることを明かした上で「バイドゥの技術力と統合性を見極めて、より良い形でユーザーにSimejiを提供し続けられるよう模索していきたい」、また現在フリーで提供されているが今後はどうなるのか、との問いかけには「現ユーザーに不利益のないように提供を続けていきたい」と答えた。iOSに対応する予定は、との質問にアラン・ザン氏は「他のOSに対応する可能性はある。現在、バイドゥ独自のOSを搭載したスマートフォンの開発も進めている」と答えるにとどまった。バイドゥでは、今後はSimejiの強み・技術力とバイドゥの開発リソースを効率的に統合し、よりユーザーに便利なサービスを開発・提供していきたいとしている。
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