米Hewlett-Packard (HP)は12月9日 (現地時間)、モバイル機器向けソフトウエアプラットフォーム「webOS」をオープンソース化すると発表した。「革新的なwebOSプラットフォームとオープンソース・コミュニティの開発力の組み合わせによって、次世代のデバイス群につながるアプリケーションやWebサービスの大きな発展を期待できる」と同社。
HPはwebOSの基盤コードをオープンソースライセンスで公開する。その後も同社はwebOSの積極的なサポートおよび開発を継続、また以下の4点からwebOSのオープンソース・プロジェクトを支援し、同プロジェクトが開花するようにオープンソースコミュニティに働きかけていく。
- webOSプラットフォームのオープンな開発を加速させるのをプロジェクトの目標とする。
- プロジェクトへのHPの積極的な参加と投資。
- 透明性の維持と、断片化を避けるための包括的管理。
- 正真正銘のオープンソース・プロジェクトのもとソフトウエアを提供。
HPが掲げる4ポイントは、Googleを中心としたAndroidプロジェクトを意識したものと言える。
webOSは米Palmが開発したモバイル機器向けのソフトウエアプラットフォームで、LinuxベースのOS、WebKit、OpenGL ESなどで構成される。アプリ開発にHTML/CSSおよびJavaScriptを用いるなど、Web時代を想定した設計であるのが特徴。PalmがwebOSベースのスマートフォンを欧米で展開し、2010年春にHPがPalmを買収してwebOSおよび搭載製品の開発・販売を引き継ぎ、今年7月にwebOS搭載のタブレットも登場した。しかしiOSとAndroidが席巻するスマートフォン/タブレット市場に食い込めず、またパソコンの低価格競争でHPのPersonal Systems Group (PSG)が疲弊したこともあり、2011年度第3四半期(5-7月期)決算報告において同社はPSGのスピンオフ(分離・独立)を含む大規模な事業再編計画を公表。パソコン事業の切り離しの検討や、webOSベースのモバイル端末の開発を打ち切る方針などを明らかにした。その後、9月にMeg Whitman氏がHPのCEOに任命され、Leo Apotheker前CEOが進めていた事業再編計画の見直しが始まり、10月にパソコン事業分離案を撤回。そして今回のwebOSのオープンソース化に至る。