Google Walletなど、とかくNFC (Near Field Communications)といえばモバイル決済や交通システムなど、ICカードとしての利用が注目されがちだ。だがNFCの本質は近距離通信を利用したセキュアなデータ交換システムであり、用途しだいでさまざまな応用が可能になる。そのちょっとした応用例の1つが「Add Friend」というNFCを使ったAndroidアプリだ。

Add Friendの画面とその利用イメージ

機能自体はシンプルで、Facebookアプリの導入されたNFC対応のAndroidスマートフォンがあれば、あとは「Add Friend」のアプリを起動した状態で端末の背面を合わせるだけでいい。双方の端末のFacebookアプリで互いのプロファイルページが開かれるので、あとは「Add」でフレンドとして加えるだけだ。Add FriendのNFCの通信が成立した瞬間に、2つの端末の間でFacebookアカウント情報を素早く交換し、Add FriendがFacebookアプリの「Add Friend」ページへと誘導する仕組みだとみられる。よくパーティとかで名刺交換や挨拶で名前を聞いて「後でFacebookリクエスト出しておきます」と話すことがあるが、作業を忘れ放置したり相手が見つからないなどで、そのまま埋もれてしまうことも多いだろう。このような形で挨拶してすぐ端末同士を合わせてフレンド申請を成立させてしまえば、一種の名刺交換が成立してしまう。Facebook以外にも応用が考えられ、いろいろアイデアが浮かんでくるだろう。

以前にはPokenというキーホルダー状のガジェットを使ったNFCベースのプロフィール交換システムが流行ったり(ちなみにPokenはまだ現役だ)、日本では赤外線通信によるアドレス交換がいまでもよく行われている。赤外線通信はいわゆる「ガラパゴス」な機能であり、対応端末のみでの対応となるが、もし今後NFCが多くの端末に搭載されることになれば(日本のキャリアは2012年までにおサイフケータイの端末をすべてNFC対応すると表明している)、利用機会はさらに広がるだろう。またFeliCa P2Pや赤外線とは異なり、対応端末が世界中に存在するため、世界各国のディベロッパーが面白いアイデアやサービスを次々と発表してくるかもしれない。